あたホス短編集 上手い人と 部屋に着いて、鍵をまわして、ドアを開けて。 ミチルを中に入れて、ドアを閉めた瞬間―…、 「っ…!?」 突然、ミチルがオレにキスをした。 唇が触れ合うだけの短いキスの後、上目使いにオレをじっと見つめたミチルは、泣きそうな顔をしていて…。 「…ミチル、怒ってる…?」 オレの言葉にミチルは小さく首を横に振った。 「オレに呆れた…?」 また首を横に振ったミチルは、 「……不安になるの。」 か細い声でそう呟いた。 その声は少し震えていて。 「わたし…、」 搾り出すように、 「キスだってエッチだって…うまく出来ないから、ナガレさんは…、他の人としたいって思ってるんじゃないかって…、」 そう続けた。 …オレは驚いた。 ミチルがそんなこと考えてるなんて、オレは全く知らなかったから。 ミチルがそんな心配をしていたなんて、思ってもみなかったから。 「…ミチル。」 泣きそうなミチルの言葉を遮るように名前を呼んで、オレはミチルをギュッと抱きしめる。 「オレが好きなのはミチルだけだし、抱きたいと思うのもミチルだけだ。」 「でも…、」 「信じない?」 オレの言葉に、どう返しせばいいか悩んでるらしいミチルは、何も言わなくて。 オレに抱きしめられてじっとしたまま動かない。 オレの腕にすっぽりと収まってる小さなミチルが愛おしくて。 オレがミチルの耳にキスを落とすと、ミチルがそれに小さく反応する。 やべぇ。 オレの理性が飛んでいきそう…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |