あたホス短編集
ナガレの女関係
「ナガレ、今から遊びに行こ?」
『女が出来た』って公言してるにも関わらず、未だに誘ってくる女は、いる。
オレに女が出来たって知らないならまだしも、
目の前のメイド服でウェイトレスをやってるミチルをチラチラ見て笑うこいつは、明らかにミチルがオレの女だと知ってるのに誘ってきてやがる。
ミチルも、こいつの声が聞こえているらしく、眉を垂らして俯いた。
「いかねぇよ。」
ミチルにそんな顔させるこの女と、自分にイラッときたオレは低くそれだけ呟いて、女と目線を合わせないよう、カウンターに向かって特製ジュースをあおった。
「どうして〜?」
「いかねぇもんはいかねぇんだよ。」
「理由になってなくないっ?」
クスクス笑う女に、カチンとくる。
今まで、こいつに限らず、女の相手がめんどくさいと思うことはあっても、ムカついたことなんてほとんどなかったのに。
「…しつけぇ。」
「ちゃんと理由教えてよ。」
「女が出来たって知ってんだろ。」
「どうせ遊んで終わりなんでしょ?」
「他の女には触りたくもねぇよ。」
「あんな子だけで満足出来るの〜?」
「…お前…、いい加減にっ…、」
「嬢ちゃん。悪いけど揉め事は外で頼めるか?」
怒鳴ろうとしたオレの言葉を遮ったのは、カウンター向こうでニッコリ笑ってるのに目は笑ってないヒビキさんで。
ヒビキさんにそう言われた女が、キッとオレを睨んで出ていった後、
「ナガレ、ミチル頼むぞ。あれじゃ仕事になんねぇ。」
ヒビキさんは、俯いて泣きそうになってるミチルにちらっと目線を投げて苦笑した。
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