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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
期間限定の指輪


スグルと一緒にご飯を食べたのも初めてだった。




イタリアンのお店に入ったスグルは、パスタとピザとサラダを注文する。


男の子って細いのに、こんなに食べるんだ…。



スグルが食べてるのをじ〜っと見ていたあたしの視線に気づいたスグルは、「ん?」ってあたしの方を見て。


「食べる?」

ピザを差し出した。



「じゃあ1切れ…。」

思わず、手を出して受け取ったものの…、
なんだかおなかも胸もいっぱいで、ピザを食べたら自分のパスタも入らなく…!





ピザを食べた後、ジュースを飲んでいるあたしに、スグルが言う。


「アカリのパスタおいしそ。ちょっともらっていい?」



おなかいっぱいだから助かった、と思ったあたしは、

「うん。おなかいっぱいだから全部食べて。」


パスタの乗ったお皿を渡し、
スグルがおいしそうに食べてるのを微笑ましく見ていて、ふと気がついた。










「か・・・関節チュウ・・・!!!」

真っ赤になって叫んだあたしを、
パスタを頬張る手の動きをピタっと止めて上目遣いに見つめるスグル。



口の中のパスタをゴクンと飲み込んで、申し訳なさそうに、

「ごめ…そういうの気にする…?」

と、謝る。




「あたしはいいんだけどスグルが…。」

ゴニョゴニョと何言ってんだかわからないあたしに。



「俺は、アカリのなら気にならないから大丈夫。」

スグルはクスッと笑った。








スグルと2人で町を歩いていると、あたしの目に止まったお店があった。



あたしが立ち止まるから、手を繋いでるスグルも止まる。

「なんかあった?」


あたしの目線を辿ったスグルは、目線の先を確認すると、
あたしの顔を覗き込んで、

「ほしいの?」

って優しく笑う。




そんな顔しないで。
そんな優しくしないで。





あたしが見ていたのは指輪。

シルバーの、
…ペアリングだった。





慌てて首を横に振ったけど、

「中、見てみようか。」

スグルが手を繋いだまま、お店の中に入っていこうとする。




「待って!ホントにいいの!」


必死に止めるあたしに、振り返って不思議そうな顔をするスグル。


「イヤなの?」

「イヤじゃないけど…。」

「けど?」


あたしは、スグルと目をあわせられずにうつむいた。




「だって…後10日もないんだよ…?」

「…え?」


「…恋人の期間は、あと10日もない…。」

「……、…。」



「『期間限定の指輪』は、いらないから…。」

「……、…ごめん。」






スグルに謝られて、あたしは余計に惨めな気持ちになった。





『期間限定恋人』は、楽しいことばかりじゃない。
『終わり』を考えてなきゃいけない。

2週間を越えたら執着しちゃいけない。



でも…、
スグルはきっとそこまで考えてない。

スグルはただ『仕事』をこなしくいくだけ。








2週間経ったら、スグルは、
…何事もなかったかのようにあたしの前からいなくなるんだ…。




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あきゅろす。
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