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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
初めての休日


土曜日。
スグルと会ってから、初めての休日。


初めての『放課後じゃないデート』。






の、はずなのに…。







服がない!!!!
服がないんですよ!!!
着ていく服がぁ!!!







「ミチル〜…服がない…。」

朝っぱらから、半泣きでミチルに電話をしてみる。


必死なあたしに、

『スグルさんと会う前に買いに行っちゃう?』

電話越しに聞こえてくるミチルの声。




ホントにあたしはいい友達に恵まれた…!!


涙が出そうなくらい感動したあたしは、急いでパジャマを脱いで、一張羅の黒いワンピースに着替えた。



お化粧は…昨日のプロレスラーメイクはヤバすぎたからやめておいた。







スグルには、『午前中は都合悪いからお昼から』ってメールを送って、ミチルと待ち合わせ。





「どんなのがいいか全然わかんないよ〜…。」

いろんなお店をチラチラ見ながら歩くけど、どれがいいのかなんてさっぱりわからない。



「あ、こことかどう?」

ミチルに言われて、そのお店に入ってみた。



チラッと値段を見てみたけど、そんなに高くはないのでホッとする。


「アカリ、どんなのがいい?かわいい系?」

「ん〜…ミチルお願い…全然わかんない。」


あたしは両手を合わせて、お願いポーズ。
申し訳ないと思いつつ、わからないから何もかも親友任せ。



それでもミチルはイヤな顔ひとつせず、

「任せてっ。アカリはきっと淡い色が似合う!」

って真剣に服とにらめっこし始めた。






ミチルが選んでくれた服は3セット。
デートのたびに同じ服を着てはいけないからと。

ついでに違うお店で靴も選んでもらった。


もちろん支払いはママのお金から。
封筒の中には、十分すぎる額が入っていた。






デパートのトイレでモソモソと新しい服に着替える。


「アカリ、すごくかわいい〜!!」

ミチルが大きな身振りで褒めちぎってくれるので、なんだか照れてしまう。





あたしがさっきまで着ていた服と、余分に買った服をコインロッカーに入れてカギを閉めると、

「じゃあ。また何かあったら連絡して!」

背中を向けて帰ろうとするミチル。



「お昼ご飯一緒に食べよ。おごらせて?」

引きとめようとするあたしに、ミチルは首を振った。



「お昼はスグルさんと食べなよ。で、夜には報告すること!わかった?」

人差し指をあたしの顔の前にビッと出し念を押した後、
じゃあねって大きく手を振って、ミチルは振り返ることなく人込みに消えていった。





『ミチル、ありがと。がんばるね。』

あたしはミチルにメールを送ってから、スグルに電話をかけた。








『もしもし?』

「あの…今、家にいるの?」

『いや、駅着いたとこ。』



なぜか駅にいるというスグル。
あたしのいるデパートはすぐそこ。



『もう用事終わった?』

「うん。」

『アカリ、今どこ?』

「駅前のデパート。」

『わかった。迎えに行くから待ってて。』






数分後、あたしはスグルと合流することが出来た。



私服のスグルを見るのも初めて。
スーツや制服と比べても、ダントツにかっこいい!

まわりからの視線はチラチラとスグルに向けられているけれど、
当の本人はやはり全く気にした様子はない。




「スグル…かっこいいからすごく見られてるよ。」

あたしがボソっとスグルに耳打ちすると、


「耳元で囁かれると興奮するからやめて。」

って囁き返されてあたしはボッと赤くなった。


そんなあたしをクスクス笑ってるスグルを見て、からかわれたんだと気づいた。







スグルは、あたしの服を見て

「勉強の成果が出たんじゃない?」

って頭をなでてくれたけど・・・。






この服を選んでくれたのはミチルです。
次に会うときの服も選んだのはミチルです。
ごめんなさい。


あたしは心の中でこっそりスグルに謝った。




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あきゅろす。
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