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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
突然の別れ


「……起きてたの…?」

あたしの声は震えてる。



「髪の毛触られたときに気がついた。」


「……なんですぐ起きなかったの?」

「アカリがやめちゃうと思ったから。」



スグルの表情は真剣で、冗談言ってるんじゃないってことはわかる。





「他の女の子にもそんな顔でそう言うの?」

「……?」

「あたしが『期間限定カノジョ』だから逃げなかったの?」

「アカリ、」

「それとも誰とでもする?」

「待っ…、」

「スグルは…」


突然、あたしの唇は塞がれて、言葉が途切れた。




そして、あたしの唇を塞いだスグルの唇は、すぐに離される。






「アカリ、俺の話を……。」

あたしの顔を見たスグルの言葉がそこで止まった。




「ごめん……、アカリ…。」



あたしが泣いてるから。




困惑した表情のスグルが長い指であたしの涙を拭う。






「スグルは…、誰にでも、そうやってするんだ…。」

口を開いたあたしは、もう自分でも止められなかった。



「あたしは『仕事相手』だから優しくするんでしょ?
お店でも他の女の子にこうやって優しくするんでしょ?!
もう期間限定のスグルのカノジョなんて嫌だ!
あたしは他の女の子に優しくしてる彼氏なんていらない!!
こんな彼氏いらない!!!」


あたしはスグルを責めるように叫んだ。
心の中にあったモヤモヤを全部吐き出した。

涙があたしの頬を伝って落ちる。





スグルは何も悪くないのに。
あたしが勝手に嫉妬してるだけなのに。


…あたしが勝手に、スグルのことを好きになっちゃっただけなのに…。








「わかった。…ごめんな。」

スグルは申し訳なさそうにそうつぶやき、もう一度あたしの涙を拭って、部屋を出て行った。



パタンッと、ドアが閉まる音が部屋に響く。

それは、今までに聞いたどのドアよりも、静かなのに、大きな音だった。






あたしの人生初めての彼氏、
『期間限定恋人』との付き合いは。

たった2週間すら続くことはなかった…。




ホントはスグルとずっと一緒にいたかったのに。

あたしのワガママのせい。
あたしが我慢してれば、スグルは2週間はあたしの彼氏として一緒に居てくれたのに…。

例えそれが『仕事』だとしても、その間はあたしの『彼氏』でいてくれたのに…。






あたしの目からは涙が溢れていて、拭っても拭っても、溢れた涙がポタポタと落ちてベッドを濡らした。




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