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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
知恵熱


次の日、いろんなことがありすぎて頭がパンクしそうなあたしは、熱を出した。
きっと知恵熱だ。




スグルと、ミチルと、ママに
『熱が出たので学校を休むね。』
とメールを送った。






あたしはちょっとホッとしていた。


スグルとどんな顔をして会えばいいのかわからない。
あたしはスグルに会ったらきっと今までみたいに出来ない。
きっと、嫉妬の目で見てしまう。

もしかしたら、嫉妬しすぎて、
『遊んでるんだ?女の子の扱いうまいもんね?』
くらい言ってしまうかもしれない。









なのにスグルは、家まで来てしまった。
まだ学校にいる時間のはずなのに、あたしの部屋まで来てしまった。




「ナツコさんに許可もらってるから。」

そう言ってニッコリ笑って、あたしの部屋のドアを閉めるスグル。



スグルは、勝手に家にあがりこんだんじゃないって気を遣って言ってくれたんだろうけど、
それが余計にあたしには『仕事だから来た』って言われたような気になった。






「スグルって…。」

急に話しかけたあたしに、スグルはゆっくり近づいてきてベッドの下に座り、
「ん?」ってあたしを見上げる。






「女慣れしてるよね。」

あたしは、わざとそんな言い方をした。


「…そうかな…。」

スグルは困ったような表情をする。



でも、あたしはまだ続ける。






「スグルの名前、立花スグルっていうの?」

「……うん、…そうだよ…。」


あたしの言葉にスグルの表情が曇った。






「……俺の噂でも聞いた?」

スグルは寂しそうに笑顔を作る。




「…聞いた。」

「…そう。」

「かなり遊んでて捨てられる女の子いっぱいいるって。」

「……そっか。」


スグルは困ったような笑顔のまま。




「…言い訳しないんだ。」

「言い訳したら信じてくれるの?」

「……。」



あたしは何も言えなかった。




スグルの言う通り、言い訳されたって信じることは出来ないと思うから。
言い訳されると、余計に信じられなくなると思うから。







「じゃあ俺も一つだけ聞いていい?」


スグルの突然の言葉に、あたしはちょっと戸惑いながら小さくうなずく。









「なんで昨日、俺にキスしたの?」


スグルの目は真っ直ぐあたしを見つめていた。




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