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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
まつげパーマ


次の日も日曜日で学校はお休み。



あたしはミチルに選んでもらった服3セットのうちの、
2セット目を着てスグルと会った。





「今日はどこ行きたい?」

ってスグルに聞かれて、あたしは迷わず


「シズさんのお店!」

って答える。




今、シズさんは仕事中で忙しいんだろうか、と言ってみてから思ったりもしたけど、
スグルは、仕事中であろうシズさんに電話をしてくれた。




手短に話して、電話を切ったスグルは、

「あそこ、完全予約制なんだけど、今からならちょっと時間あるって。
急ごっ。」


優しくそう言って、あたしの手を握った。




またあたしとスグルの手が繋がる。

手に伝わるスグルの体温で、あたしの心臓はまたドキドキしはじめた。










シズさんのお店に入ると、お客さんが1人椅子に座っていた。




「あたし、お化粧したことがなくて…。教えてください!」

お客さんがいるので小声で言って、
昨日買ってもらった化粧道具一式をオズオズとシズさんの目の前に出す。




「おっけ〜。あ、その前に…。」

快諾してくれたシズさんが、あたしの顔をじっと見つめた。



「……?」

顔をマジマジと見つめられて目をパチクリしているあたしに。





「アカリちゃん、まつげパーマしてみない?」

「へ?」

「まぁ…ちょっと時間ないから急ごうか。」



シズさんはあたしの手を取り、別室に引っ張って行った。







ドアを開けると、椅子とテーブルと洗面台だけの小さな部屋。


「ここ、座って〜。」

あたしが座ると、椅子の背もたれを倒し、
シズさんは手際よく、あたしのまつげに液を塗り、何かでまつげを挟んで、
あたしの顔はあっという間にあったかいタオルで覆われた。


「ちょっとこのまま待っててね。」




あたしの顔は覆われててまわりは全然見えないけど、
パタンッとドアの閉まる音がしてシズさんが部屋を出ていったのがわかった。


シズさんはまだ仕事中で、他のお客さんの相手をしなきゃならない。







ガチャッ。


すぐに、またドアが開く音がして。






「シズさん…お客さんはいいの?」

あたしがそう聞くと、



「シズはお客さんきてるから、10分くらい経ったらまた来るって。」

スグルの声が返ってきた。



スグルの声を聞いて安心したと同時に、
あたしがここで動けない間、スグルを待たせるんだってことに気付く。


「スグル…。ごめんね、いつも待たせてばっかりで…。」

「アカリはそんなこと気にしなくていいんだよ。」


返ってきた、スグルの優しい声。







優しい声なのに…、
『これが俺の仕事だから。』って言われたような気がした…。




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あきゅろす。
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