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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
スグルの噂


あたし、どっかおかしいのかもしれない。
あたし、病気かもしれない。

胸が痛くなるなんて、心臓病なのかもしれない…。



でも、あたしはある法則に気付いた。






このキュンッとする胸の痛みは、
スグルのことを考えたときだけってこと…。








「あたし、おかしいのかな…。」

『どうかした??』


家に帰ってから、あたしはソワソワしてして、なんだか落ち着かなくて。
ミチルに電話をしていた。






「胸が痛い…。」

『胸…?』


「スグルのこと考えると胸が痛い。」

『アカリ…。』




少しの沈黙のあと、ミチルは言いにくそうに声を出す。





『アカリ……あのね…、』


ミチルのその明らかに何かある話し方に、あたしは嫌な予感がしていた。





『今日、聞いたんだけど……、』


ミチルは言いづらそうにそこで言葉を切る。





『スグルって…立花優だよね…?』


…そうなんだ…。
あたしはスグルの苗字すら知らなかったんだって今頃気付いた。



「…うん。」

知らないけどそう返事をする。








『その子、かなり遊んでるってウワサ聞いて…。』


あたしの胸の奥が今度はキュンとじゃなく、ギュッと心臓を鷲づかみにされたみたいに痛くなる。



『遊んで捨てられる女の子いっぱい…、』

「大丈夫だよ。」



あたしは、ミチルの言葉を遮るように言った。



これ以上、スグルのウワサは聞きたくなかった。
あたしの知らないスグルの話を聞きたくなかった。

いつも優しいスグルが、ホントは営業スマイルじゃなくて、
ホントにあんな人なんじゃないかって心のどこかで思ってた。





「あたしは、『期間限定カノジョ』だから大丈夫。
心配しないで。」



スグルはホストという『仕事』であたしの『期間限定カレシ』をやっているだけ。

どうせ2週間しか付き合うことが出来ない関係だから。
スグルにとってあたしは、ただの仕事相手だから。

だから、心配しないで。








ホントは、もう、そう思えないことくらい、自分でわかってた…。




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あきゅろす。
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