あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
化粧品売り場
あたしはスグルに連れられて、デパートの化粧品売り場に来ていた。
フロアにはいろんなメーカーの化粧品がところ狭しと並んでいて、
それぞれのメーカーのカウンターにはカウンセラーがついていた。
「…スグル…、どれがいいのかなぁ…?」
こんなにいろんな種類があるなんで知らなくて、ちょっと涙目のあたしに、スグルは、
「俺も…、化粧品はわかんない…。」
と肩を竦めた。
「とりあえずどっか座って化粧してもらう?」
「ナチュラルメイクっぽいとこね。」
あたしが言うと、スグルは「そうだね。」って笑う。
ポスターのイメージから、1番ナチュラルメイクっぽいメーカーのカウンターに座った。
「この子、化粧したことないんだけど、してもらえる?」
スグルが営業スマイルでそう言うと、
メーカーのお姉さんは、「はい。」と笑顔で答え、ちょっと頬を染めたように見えた。
あたしはメーカーのお姉さんに、されるがまま。
なんか塗り塗りされて、ペタペタされて、書き書きされて、まぶた挟まれて、また塗り塗りされて…。
顔上げてだの、目開けてだの、目閉じてだの、口開けてだの、言われることに従った。
メーカーのお姉さんが、化粧道具を取り替える合間に、スグルの方に目を向けると、
毎回スグルと目が合ってスグルがやわらかく微笑む。
ずっとこっちを見ててくれてるんだ…。
恥ずかしいけどうれしい。
「はい、出来ました。どうですか?」
ニッコリ笑ったメーカーのお姉さんがあたしの前に鏡を置いてくれた。
鏡の中の自分は、なんだか自分じゃないみたいで恥ずかしくて…、
思わずスグルに顔を向ける。
スグルがあたしの顔を見て、ふわっとした笑顔で
「かわいいよ。」
って言ってくれるから、あたしの胸はキュンと痛くなった。
あたし…なんか変だ…。
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