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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
女慣れ


スグルは自分の指にあたしの指を絡めたまま、気にした様子もなく歩く。

あたしが握り返したことも、気にも止めなかったようだった。





こういうの慣れてるんだなぁ…。





スグルは絶対モテる。
優しくてかっこよくてかわいくて。
こんな人をまわりがほっとくはずがない。

まわりの女の子たちの視線を感じる。
スグルへの憧れ。
あたしへの嫉妬。




スグルに手を引かれ、あたしは少しだけ優越感にひたった。



『少しだけ』なのはこれが『スグルの仕事』だから。

…本当の恋人じゃないから。


それでもまわりから見れば釣り合わなかろうが手をつないだ恋人同士に見えるはずで。

あたしは少しだけの優越感を噛み締める。







「今日はどこ行きたい?」

スグルが優しく聞いてくれる。


「お化粧してみたい。」


服はミチルと買いに行きたかったから。




「化粧品は…。あっち見にいこっか。」

まわりを見回して駅前のビルを指差す。


その笑顔からは昨日みたいな違和感は感じなかったけど、不安になったあたしはつい聞いてしまう。



「お化粧とかイヤだったりしない…?」





スグルはクスッと笑った。

「ナチュラルメイクでよろしく。
濃いのはダメ。香水もダメ。」


昨日のことがあったからか、
ちょっと本音を言ってくれてるようでうれしい。



「香水もダメなの?」

聞いたあたしに返ってくるスグルの楽しそうな声。


「女の子は甘くていいにおいするのに、香水つけたら消えちゃうから。」






…スグルは気付いてないんだろうか。



サラッと自分の恋愛経験の多さをさらけ出すセリフ。
近くで女の子のにおいを嗅いだことのあるセリフ。








チクンとあたしの胸が痛んだ。




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あきゅろす。
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