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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
2度目のデートの始まり


「ス、スグル…、なんで学校に?」


手を引かれながら歩くあたしがスグルを見上げると、スグルは、


「また変なのに絡まれちゃたまんないから。」

ちょっと眉を垂らした。



昨日のナンパ男のことを言っているらしい。







そして少し声のトーンを落とし、

「…さっき友達に見られたの、…まずかった?」

ちょっと気まずそうにあたしに聞く。




あたしは、大きく首を横に振って笑った。

「ちょっとタイミング悪かったけど。」


「タイミング?」

思わぬ答えが返ってきたらしく、スグルはキョトンと聞き返す。



「うん。さっき一緒にいた子、ミチルっていうあたしの親友なんだけど、スグルのこと話してなくて…。」

「……話しにくいね…、ごめん。」

スグルは、ちょっと眉を寄せる。


「ミチルにはファッション誌買ったときもついてきてもらって、
何かあったのって聞かれたんだけど言えなくて…。
それでさっき、」






突然、スグルが歩いていた足を止めた。





「ごめん。俺…、自分の立場わかってないな…。」

「……。」



それは…、
スグルの『仕事』だから『仕事相手』であるあたしに『迷惑をかけちゃダメな立場』って意味…?

あたしはスグルから見ればただの『客』…。
わかってたはずなのに。
そんなこと、わかりきってたはずなのに。




あたしは心臓をギュッとしめつけられた気がした。










「今から戻って話す?俺、いない方がいい?」

スグルが心配するようにじっとあたしの顔を覗き込む。



スグルのあったかい手と繋がった状態で、スグルのそんな目で見つめられたら、
あたしの心臓は異常なくらい働き者になっちゃうわけで…。




「スグルは悪くないから。今日の夜にでも電話してみるから大丈夫っ。」


ドキドキうるさいくらいの心臓を必死で抑えながら笑顔を作って言葉を並べた。



スグルは、「ごめんね。」って小さくつぶやいて、

「俺、強引すぎたらちゃんと言って。アカリが嫌がることはしたくない。」

困ったような表情で笑う。



「そ…そんなこと全然っ…!!」

むしろうれしいかも…。




なんて言えないから、それは心の中に留めておいた。





「俺がイヤなことしたらすぐ言って?」

「……イヤなことなんて1つもないよ。」

「…そっか。よかった。」


スグルがあたしを見つめて優しく笑うから、あたしは思わず真っ赤になって…、
繋いだ手をギュッと強く握り返してしまった。




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あきゅろす。
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