あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
放課後デート開始
喉が渇いたらしいスグルと、駅前のファーストフード店に入って飲み物を注文した。
席に着いて飲み物を含み、一息つく。
「あ、そうだ。あたし昨日雑誌買ってみたのっ。」
スグルにも見てもらおうとカバンから昨日買ったファッション誌を取り出してテーブルに置いた。
「へぇ、見せて。」
スグルは、「がんばってるね。」って微笑んで雑誌をめくりはじめた。
さっき駅で会ったときはは慌てていたからよく見てなかったけど、今日はスグルも制服姿。
たぶん…うちの高校よりかなり偏差値の高い南高の制服。
スグルが制服着てるのってなんか不思議な感じ。
ふと、まわりに視線をやると店内の女の子たちがチラチラとスグルを見てることに気付いた。
当の本人は気にしてないのか気付かないのか、栗色の前髪の下で長い睫毛をふせて平然と雑誌をめくっている。
やっぱりかっこいいもんね…。
こんなあたしが一緒にいるとすごく不釣り合いなんだと思う。
まわりからは『月とスッポン』『ダイヤと泥団子』『カブトムシとミジンコ』くらいに見えてるに違いない。
「ん?どうかした?」
あたしの視線に気付いたらしいスグルが不思議そうな視線をあたしに向けたので、
あたしは慌てて「なんでもない。」と顔を横に振った。
「アカリはどんな服が着たい?」
スグルがあたしの前に雑誌を動かす。
「んと…服はわかんないんだけど…、」
「うん?」
あたしは雑誌をめくってそのページをオズオズとスグルに見せた。
「ネイル…どうかなっと…。」
スグルはネイルを見てかわいいって思ってくれる?
あたしにも似合うって言ってくれるかな…?
ドキドキしながらスグルの表情を窺っていると、スグルは開いたそのページを数秒見てからあたしに向けてニッコリ笑った。
「うん。今から行く?」
………。
なんか…、
なんかが違う。
なんだかわかんないけど今なんか。
…違和感を感じた。
「…スグル?」
「うん?」
あたしの方を見るスグルにもう違和感はない。
でも、確かにさっき…なんだかわからないけどスグルに違和感を感じた。
「…こういうのダメかな?」
「なんで?いいと思うよ?」
昨日とかわりない屈託のない笑顔。
やはり違和感はない。
気のせいならそれでいい。
あたしの思い過ごしならそれでいい。
間違ってたらって不安はもちろんあるし、
何度もしつこく聞いたらウザいとかめんどくさいって思われるかもしれない。
だけど。
「…スグル、本当はあんまりこういうの好きじゃなかったりしない?」
どうしてもスグルの本音が聞きたいあたしはもう一度だけ聞いてみた。
どんなにあたしががんばったって。
どんなにあたし自身がかわいいと思える物だって。
「スグルにかわいいって思ってもらえないなら意味がないの…。だから、ホントのこと言ってほしい。」
あたしはどうしてもスグルの本心が知りたくて。
決死の告白にも似た自分のセリフで真っ赤になった顔を隠すことも出来ないままスグルをじっと見つめた。
そして、しばらくの沈黙の後。
「俺、…顔に出てた?」
スグルはちょっと困ったような笑顔をみせた。
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