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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
待ち合わせ


次の日の放課後、
あたしは待ち切れなくてダッシュで待ち合わせの駅に向かった。





駅に到着して壁の大きな時計を見上げる。

15時43分。



「…ちょっと早過ぎた。」

小さくつぶやいて苦笑する。



どんだけあたしはスグルに会いたいんだ。
早く来ても早く会えるわけじゃないのに。



そこまで考えてふと思う。




もしかして早く来過ぎるとスグルにキモがられたりする!?

マンガとかってよく女の子が遅れてきて
『待ったぁ〜?』
『いや、今きたとこだよ』
みたいな会話あるよね…!?

女の子は準備に時間かかって当たり前だったりするの…?
準備に時間かからないあたしは女として不十分?!
時間にはちょっと遅れるのか当たり前!?


あたし、やっちゃった…?!!







「何してんの?」


一人で葛藤中のあたしの頭の上から突然、声がふってきた。


慌てて声のした方を向いたあたしは、








「………どちらさまで?」

思いっきり眉を寄せる。



誰、これ!?
全く見たこともない人だし!!
シャツのボタン外しすぎなんですけど?!
胸見せすぎなんですけど!?
髪の毛ところどころ白髪なんですけど!!?




見たくもない胸元を見せているお兄さんをあたしがマジマジと観察をしていると。



「どっか遊びに行こうよー?」

軽い口調で話しかけられた。



もしや、これって…ナンパってやつ…?!



髪型かわっただけでナンパされるとはシズさんの腕のすごさにはびっくり。

よほどあたしの黒くて長くて多くて重ーい髪型はひどかったらしい…。





「なぁ、聞いてんのー?」

上から目線の態度。
喋り方もなんかねばねばしてて気持ち悪いし。
表情も優しくない。


…スグルとは全然違う。






「チッ…、シカトかよ?」

舌打ち。
ちょっと低くなった声。

あたしの腕を荒々しく掴む。




あたしはこわくなって、ただこの人を見てるしかなくて。

何も言えずに震える手を抑えながらただただ見てるしかなくて。



…やっぱりマンガじゃない現実の男の人はこわい…!










「俺のツレ、放してくれる?」

ふいにあたしの耳に届いたのは、いつもの優しい声じゃなくてちょっと威圧的な低い声。



あたしの目に待ち望んだスグルの姿が映った。



肩で大きく息をしていて、走ってきてくれたんだとわかる。






「…ちっ、彼氏かよ。」

スグルを見たナンパ男は、吐き捨てるようにそう言って去っていく。






「…ごめ、まさかこんな早く来てくれてるとは、思わなくて…。」

まだちょっと息の荒いスグルが、あたしの方に向き直って申し訳なさそうに言う。

さっきの低い声じゃなくて優しいスグルの声。




ホッとしたあたしは、思わず笑顔になる。


「ううん。スグルに早く会いたくてあたしが勝手に早く…、」


そこまで言ってあたしは慌てて口を塞いだ。







しまったぁぁぁぁあッ!!!
何口走ってんのあたし!!?
待ってる女は嫌われる!?
待たせる女がいい女?!
あたしって超ウザい!!?

なんとかごまかさないと…!!!




と、あたしが口を開こうとした瞬間。









「ありがとう、アカリ。うれしいよ。」

スグルから満面の笑みが零れた。




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