あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
明日の約束
「あたしにかけてくるなんていい度胸じゃないの!!
あんたのパンツこそ何色よ!!?
ついでに名乗っとけ!!!!」
そこまで一気に言って、荒い呼吸を整えながら相手の出方をうかがうあたしの耳に届いたのは。
「……………スグルです。」
ちょっと遠慮がちなスグルの声だった。
「ス……スグ、ル!?!!?」
あたしは一瞬目が点になり、勢いよくセクハラ発言をしてしまった恥ずかしさと、スグルから連絡がきたことへの驚きとうれしさで声が裏返る。
「ごめん…、今日連絡出来なくて…。」
申し訳なさそうなスグルの声。
そんな声を聞いたらスグルからの連絡をすごーく待ってたなんて言えなくて。
「ううん。なんかあったの…?」
連絡できないくらい忙しかったとか事故でもあったのかと心配にして聞いてみると。
「いや、昨日携帯聞き忘れたでしょ。」
「あ!」
「ナツコさん仕事中でつながらなくて今さっき休憩中に連絡くれて…。」
自分がスグルから連絡してもらうことばっかり考えてたことに気付く。
まさか…連絡先を交換し忘れてたなんて…!!
なんてバカなんだあたしはっ!
でも、スグルがあたしに連絡しようとしてくれてたことが単純にうれしくて。
「昨日、あんまり遅くなるとナツコさんに怒られると思って急いで帰したら肝心なこと忘れてた。」
スグルがクスクス笑うからうれしくなったあたしもつられて笑う。
「明日はデートしようか。」
優しいスグルの声。
「うん。」
明日は会える。
スグルに会える。
そう思っただけで顔の筋肉がゆるんでいくのが自分でわかった。
「明日、アカリの学校の最寄りの駅に16時でいい?」
「制服のままでいいの?」
「ん。飲みにいくわけじゃないから。」
「わかった。」
「それに、」
「それに?」
「制服姿のアカリも見ておかないと。」
笑いを含んだスグルの声。
「な…!なに言って…!!!」
スグルの冗談だとわかっていても顔が真っ赤になってしまう。
電話くらいでこんなに照れてちゃダメだっ!
恋人同士ってみんなもっと堂々として手つないで普通に歩いてるし、照れてるカップルって見たことがないし…!
まだまだ恋愛についてなんにもわかっちゃいないあたしだけど、今日スグルに会えなかったこともあって明日会えるのが今からすでにすごく待ち遠しい。
でも。
「…じゃあ、また明日ね。」
ホントはもっとスグルと話していたかったけど、
「ん。おやすみ、アカリ。」
「おやすみ。」
スグルがまだ仕事中なのがわかったからあたしは自分からスグルとの電話を切った。
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