あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
知らない電話番号
ミチルと晩ごはんを一緒に食べて別れた後、
家に帰ったあたしは今日何十回目かの携帯の画面の確認をする。
…やっぱりスグルからの連絡はない…。
携帯のデジタル時計は20時26分。
あたしは、小さなため息をついてリビングのテーブルの上に携帯を置いた。
ママはまだ仕事から帰ってきてない。
忙しいときとそうでないときの差が激しい仕事で、今は忙しい時期らしい。
昨日みたいな息抜きをすることが月に1回くらいあった。
あたしはリビングのソファに寝転んで、今日買ったばかりのファッション誌をペラペラとめくってみる。
色とりどりのかわいい服をかわいいモデルたちが着こなしている。
でも、これはモデルがかわいいから似合うんであって、あたしが着たら…うーん…。
昨日は一張羅のワンピースだったけど、普段はTシャツ・ジーンズのあたしは想像もつかない。
あたしに似合う服ってどんなんだろう…?
自分に似合う服なんて全くわからないままページだけをペラペラとめくっていくと、ふいにカラフルでかわいいページが目についた。
「…ネイル?」
キラキラ光る石だったり花だったり。
爪がかわいくデコレーションされている。
手元だけなら似合う似合わない関係なかったりするんじゃ…!?
これならスグルはかわいいって言ってくれる!?
「どこで出来るのかな…えーっと…。」
もっとくわしく読もうと雑誌に顔を近づけた瞬間。
ヴーー!ヴーー!ヴーー!
テーブルの上に置いた携帯が大きな音をたてて震えはじめ、あたしは思わずビクっと体を震わせた。
「……びっ、くりしたぁ…。」
びっくりしすぎて一瞬痛くなった胸をなで、慌てて携帯を手に取る。
スグルからじゃないかと期待したけど知らない電話番号。
イタ電かー…イヤだなぁ…。
以前知らない番号からかかってきた電話を取ってしまい、こっちが『もしもし?』と言った直後えらく息を切らせて『パンツ何色?』と言われたことがあった。
あーれーはかなりキモかった!
あれ以来、知らない番号からのコールには絶対に出ないと心に決めた!!
無視して雑誌をめくっていたけど、鳴りやまない電話。
もう50コールくらいしてる気がするのに止む気配のない振動。
気になって気になって、いくらページをめくっても目で見たものが全く頭にはいってない。
ちくしょう!
こうなったら電話に出て文句言ってやる!!!
パンツ何色か聞かれる前に聞いてやる!!!
覚悟を決めて携帯を手に取り通話ボタンを押すと、
思いっきり息を吸い込み携帯に向かって大声で叫んだ。
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