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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
車内

シズさんにお礼を言ってお店を出た後、また車に乗り込んで走り出す。




「次はどこいくの?」


夜に出掛けたことなんてないからワクワクしながらあたしが聞くと、
スグルは運転しながらチラッと時計を見た。

あたしも自分の携帯電話で時間を確認してみる。


22時13分。




「初日だし、今日は帰ろうか。」


笑顔を絶やさないスグルにそう言われて、すごく残念な気分になった自分に気付く。

…もっとスグルと一緒にいたいって思ってる…。






でも、今日初めて会ったはかりのスグルにそんなこと言えないから「ふーん」って言って他の話でごまかした。




「この車、スグルの?」

「これはオーナーの。勝手に乗ってきた。」


クスクス笑うスグル。



「免許持ってるの?…というか、いくつ?!」

「店では酒飲むから20歳。」




何も知らない。
スグルのこと。




「で、ホントは?」

「17。」




もっと知りたい。



「無免許?!」

「そうとも言う。」

「ええーー!?」


アタフタするあたしに、「大丈夫だよ。」って優しく笑いかけてくれるスグル。



「明日からデートは車ないけどね。」

「徒歩?」

「徒歩とか電車とか。」

「いつも無免許運転してるわけじゃないんだ?!」

「ほとんどしてないよ。普段は高校生らしく電車通学してるから。」


ちょっと冗談なんか言ってみたくなるけど、スグルはそれにもちゃんと返してくれる。



「スグル、高校生なの?」

「うん。学校行って夕方から店。」

「大変なんだね〜…。」

「俺は時間短いからそんなキツくはないかな。」



マンガのキャラクターじゃない現実の男の子は『こわい』ってイメージがあったけど、
スグルは平気。
スグルはすごく優しい。




「あ、そういえばシズさんはいくつ?」

「あ〜………っと。…勝手に言うと殴られるから内緒。」


冗談っぽく人差し指を口に当てて笑う。





不思議な感じ。

『さん付け』してたときより『呼び捨て』にしたらスラスラ言葉が出てくる。
すごく話しやすくて会話が弾む。

あたしは今まで男の子とこんな風にしゃべったことがなかった。


スグルのこといっぱい知りたくて。
聞きたいことがいっぱいでどんどん言葉が出てくる。

すごく楽しい。
もっと話したい。







……でも、これは『仕事』。
お金もらって引き受けたスグルの『仕事』なんだ。

あたしとスグルは『客とホスト』。
それ以上の関係はない。






あたしはまたちょっと寂しい気持ちになった。




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あきゅろす。
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