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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
期間限定カノジョ詳細

シズさんに言われるまま椅子に座り、布を巻かれて、髪を切られ始めた。

ジャキッと髪を切るいい音がして頭が軽くなっていく。




女は髪が命だと言うけれど、あたしは特にこだわって髪を伸ばしてたわけじゃないので切られることに対して何の抵抗もなかった。







「さっきの話の続きは?」

「あぁ。まだアカリちゃんにもくわしいことは言ってないんだけど…。」


シズさんに言われてスグルさんはまず、
あたしの母『ナツコ』のことから話始めここに来た経緯をたどる。









「ふむ。で、『期間限定カノジョ』って?」

「ナツコさんは『かわいくしてやって』って言ってたけど、俺はそれが外見だけの話じゃないと思うんだ。」



それはあたしの中身も悪いと。
そういうことですかい…?!


心の中でひそかにそんなことを考えたあたし。






「アカリちゃんの性格が悪いって意味じゃないからね?」

鏡越しにあたしを見てスグルさんがクスッと笑った。



……エスパースグル!!!








「ナツコさんは、アカリちゃんに彼氏が出来ないことを心配してたから―…」

「あー…、『経験』か。」

「けっ…けいけん?!!」



『経験』っていうと…その…そういうアレですか!?
『経験人数』とか、そういう意味の経験ですか?!
ス…スグルさんと…!!?





一人で真っ赤になってワタワタしているあたしの顔を見た二人の笑いに『違う』ってことを教えられて。
あたしは恥ずかしさでまたさらに赤くなる…。






「…まぁ、間違ってもないんだけど。」

まだクスクス笑ってるスグルさん。


「男に慣れて免疫をつけるってことねっ。」

笑いすぎて髪が切れないシズさん。



「で、話の続きはっ!?」

恥ずかしくて話を反らしたいあたし。







「うん、俺が考えた期間限定恋人プランは…。」

スグルさんは鏡越しにあたしをしっかり見つめて言葉を続ける。




「期間は2週間。その間は普通の恋人同士を想定して行動すること。」

「……。」

「……。」

「…それだけ?」

「それだけ。」


呆気にとられるくらい短い説明の後、スグルスマイル。





「女同士、わたしが手伝えることあったらなんでも言ってね。」

鏡越しにシズさんがニッコリ笑う。

初対面だけどいい人だってわかる。







「アカリちゃんは『恋人同士』として、なんかしてみたいことある?」

「…んー…?」

スグルさんの突然の質問にあたしは首を傾げる。



今まで彼氏なんていたことがないから、したいことって言われても―…。




何も思いつかないあたしが無言のまま考え込んでいると、

「俺的には、呼び捨てがいいかな。」

スグルさんが、ニコッと笑って言った。



「…呼び捨て???」

「うん。『アカリ』って呼ぶから、俺のことは『スグル』って呼んで。」


男の子に呼び捨てにされると、くすぐったいけどなんだかうれしい。



「俺を呼んでみて、アカリ。」

「………ス…、『スグル』…?」


男の人の名前なんてゲーノージンかマンガの登場人物くらいしか呼び捨てにしたことないしっ!!
声ひっくり返った!!!



赤くなりながら呟いたあたしの言葉に、スグルは満足そうに頷く。







そして、そんな彼をこっそり見つめながら。
普通の人なら拒むであろう『期間限定恋人』を拒むどころか『楽しくなってきた』とすら思っている自分に気付いた。




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あきゅろす。
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