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あたし限定ホストクラブ1【85ページ完結】
期間限定カノジョ


「アカリちゃん。」

「…はい?」



暗くなった街に散らばる色とりどりの光を車窓からボーッと眺めていたあたしに、
ユウ…、スグルさんが声をかける。




「ナツコさんに『アカリをかわいくしてやってくれ』って頼まれたんだ。」

スグルさんは営業トークなのか楽しそうだけど、




「それで、どうやってかわいくしようかいろいろ考えたんだけど。」

普段男の人と親しく話すこともないためどう接すればいいかわからないあたしは、

「はぁ。」

適当な返事を繰り返し。



「『恋人ごっこ』しようか。」

「…は、はいぃいいぃ?!!!」

またまた突拍子もないスグルさんの提案に思いっきり変な声をあげた。




恋人ごっこって何!?
そもそも、恋人ってごっこでするようなもんなの?!
『かわいくする』って言ったら普通は服とかメイクとかじゃないの!?

誰か教えて!!
ママだけじゃなくてこの人の頭もおかしいの?!
それともやっぱりあたしの頭がおかしいのー!?




「そんな深く考えなくていいから。」

あたしの百面相を横目で見て、運転中のスグルさんはクスクス笑う。



「『期間限定恋人』と思ってくれればいいよ。」




期間限定恋人って…、
一夏の恋みたいな…?
クリスマス限定カップルみたいな?
意味知らないけど『アバンチュール』みたいな!?

あたしは…、
『期間限定カノジョ』?!







「ぶっ」

「む!?」

突然、スグルさんが吹き出して。

いきなり笑われたあたしは、
時代劇でくせ者を見つけた時の『ナニヤツ?!』みたいな顔で振り返る。



「アカリちゃん、おもしろいね。」

クスクス笑い続けるスグルさんを前に、あたしは自分がカーッと赤くなるのを感じる。




だって、男の人に免疫がなくてどう接したらいいかなんてわからないもん…!






「まぁ、詳しい話は後にしよ。着いた。」

まだクスクス笑いながら車を停めたスグルさんが先に降りて、助手席でモタモタしているあたしを引っ張り出してくれる。



こういうとこは職業病みたいなもんなのかなぁ。

…っていうか、
あたしとのデートも仕事みたいなもんか…。
お金をもらって期間限定恋人ごっこするんだもんね…。





そう思うと、あたしはなぜかちょっと寂しい気持ちになった。



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あきゅろす。
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