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「帰ってきた」

林の中から、並んで歩いてくるナルトとサスケの顔は穏やかで、どうやら無事仲直りしたようだった。すると、ふたりをじっと見つめていたサクラがポツリとつぶやいた。

「あれは、くっついたの?どうなの?」
「さぁ?」

それはオレにもわからんといった風に返すと、サクラはもっと興味を持てと怒りだした。

「仮にも可愛い教え子でしょー!」
「そうだね〜。と言うか、サクラはくっついて平気なの?」
「……平気なわけ、ないでしょ!」
「あ、そうなの」

さっきまで平然と話していたのに、次第に拳を握って悔しさをこらえるサクラを見て、女の子の気持ちは今も昔もよくわからないなと思った。

「そうよ!私はサスケくんが好きで好きで、好きでしょうがないんだもの!」
「……そうか」

オレに向かって怒るサクラの目には、涙が滲んでいた。今まで我慢してきた分が雫になって、綺麗な碧の瞳から止めどなく溢れさせる。大粒の涙をこぼしながら、それを拭おうともしなかった。

そんなサクラにオレは頭を撫でることしかできなくて歯がゆい気持ちになった。でもそうすると、ワッと泣きだしたサクラがオレに抱きついてきた。

「でもね!私はみんなに笑って欲しいのよ!だから、サスケくんがナルトといると、笑顔になるって言うんなら、いくらでも、応援するわよ!」
「……サクラは、強いな」

そのまま、肩で涙を拭うサクラの頭を撫でているとナルトとサスケが駆けつけた。

「オ、オレそんなに心配させちまった!?」

オロオロしながら、見当違いに心配するナルトに気が削がれたのだろう。サクラは顔を上げると少し鼻を啜ってからいつもの調子でナルトをどついた。

「誰がアンタの心配なんてするもんですか!」
「えええ!?」

その様子を少し離れたところでサスケが見守る。あぁ、平和だなと思う。

「よし、それじゃあ全員揃ったところで任務再開といきますか!」

すると、文句を垂れ出した可愛い教え子達に、今日頑張ったら一楽奢りだと言った。思った通り、浅瀬まで元気に掛けていくナルトとそれにせっつかれ呆れながらついていく仲間たち。その背中を見送ってオレはいつもの本を開いて木陰で休む。

オレも、みんなに笑顔でいて欲しいと、思ってるよ。

綺麗になっていく浅瀬が太陽の光を反射させ、彼らをキラキラと輝かせた。

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あきゅろす。
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