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「ありがとう」

その言葉に耳を疑った。ほんの少し驚いてから、真っ赤になっている彼の名前を呼ぶとヤツは目を大きく見開いたかと思うとその深海のような深く澄んだ瞳に涙を溜めて、そして、逃げ出した。そう、逃げ出したんだ。

何が起こったか分からずしばらく呆然としていると、サクラがナルトを呼び、カカシがオレを呼んだ。

「ナルトォ、アンタどこ行くのよ!」
「サスケ!」
「……わかってる」

カカシの呼びかけにそう応えると、オレはナルトを追うため地面を蹴った。

木から木へと、その間を縫うように飛び移る。一体全体どこにそんな力があるっていうんだ。さっきまでふらついていたくせに、逃げ足だけは速いのだからしょうもないヤツだ。

でも、オレは追いついてどうする。謝るのか。いいや、違う。なら、告白、なんてするわきゃねぇだろ。何考えてんだしっかりしろ。さっきのナルトに脈ありだとか思わなかったわけじゃないけど今は違う。言わなきゃならないのは、伝えたい言葉は一つだけだ。

鬼ごっこはもう終わりだ。手近にあった小枝を折ると、目の前で飛び跳ねるヤツの足元目がけて投げてやった。

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あきゅろす。
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