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(サスケから、タオル借りちまった……)

休憩後、カカシ先生に言われて、オレたちはゴミ拾いを再開した。けど、オレはそれどころじゃなくって、サスケからタオルをもらったことで頭がいっぱいになっていた。

サクラちゃんに言われた通り、素直に、って頭の中で念じながら受け取ったけど、タオル1枚受け取ることがこんなにもムズムズと体中が擽ったいような気持ちになるなんて思ってもみなかった。身体がふわふわと浮いたような、なれない感覚に身体が戸惑っていた。

サスケに差し出された薄水色のタオルは柔らかくって、顔を拭いたら干したてのいい香りにほんのりサスケの匂いも混じっていて……ってうわあああ!こんなしょぼい内容だけど、今は仮にも任務中だってばよ!集中するってば!

 余計なことは考えまいと頭を大きく振って、さらに多くのゴミを拾おうと奥へ進んだ。その時だった。

「何やってるウスラトンカチ!」

 声が聞こえたと同時に視界が暗くなり、息ができなくなった。遠浅だと思って油断した。急になくなった足場に、ゴミの重さとともに水底へと深く沈んでゆく。コポコポと耳から空気が抜ける音を聞きながら目を開いた。

水面を見上げるとさほど遠ざかってはいないことが分かった。すぐに浮こうと身体を動かすが、服が水を吸ってうまく浮き上がれなかった。脱ごうにも、背負ったままの籠が邪魔をしてうまく身動きが取れない。肩紐に腕を通そうと体を捩る。ゴボリ。やばい。無理に動いたせいで口から息が出てしまった。意識が遠のく――。

幻覚かな、サスケの顔が見えた気がした。

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あきゅろす。
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