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「と言うわけでぇ、Let's GOだってばよ!」
「……。」
天気は快晴。花の蕾が薄く色づき、ほんのり春を報せる。この陽気で、気分が浮かれるのも分からなくもないが、それでも唐突に拳を突き上げる目の前の人物に、眉をひそめずにはいられなかった。
久しぶりに休みをもらった7班は、各々の休日を楽しむ。それが常であったと言うのに、この能天気なウスラトンカチは、いとも簡単にそれを打ち砕いてしまう。
朝、扉を叩く音を聞けば、怪しげな壺や、無駄に高い宝石などを売り付けるセールスマンだとは誰も思わない。なんのためらいもなく立ち上がり、扉を開けたらどうだ。
ナルトが目を輝かせ、意気揚々と立ちはだかっているではないか。
それからの、『Let's GO!!』である。前触れも前置きもない言葉に、ほとほと呆れて声も出ない。
もう扉を閉めて良いかと問えば、焦り、ちょっと待てよ!とそれを制すナルト。
「もうすぐ咲くんだってば!」
「何が。」
「あの岡の花が!」
「はぁ。」
いっこうに帰る気配を見せないナルトは、そこらのセールスマンよりも達が悪いのかもしれない。
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