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本気で考えてみろ?
考えたさ。
考えて考えて考え抜いたら、こうすることしかできないって分かるじゃないか。
ライバルとして、気を引かせることくらいしかできないって、分かるじゃないか。
『いつか本当に嫌われるぞ?』
頭の中で木霊する声。
「クソッ!」
投げた手裏剣は的から大きく外れ、後方の木の幹に鈍く刺さる音がした。
*
「アンタ、サスケ君が好きなの?嫌いなの?ハッキリしなさいよね!」
解散後、私は先に帰ると言って街の中をうろうろほっつき歩いているそいつを捕まえてやった。デートしてやるからついてきなさいと言うと、喜んでホイホイついてきた。その素直さをどうして彼にできないのかしら。公園のベンチに座って早々私はそう言い放ってやったわ。
「さ、サクラちゃん?一体何言ってるんだってばよ」
「聞いてるのは私の方。はぐらかさないでよね!私知ってるんだから、アンタがサスケ君のこと――」
「あーあーサクラちゃん!?一体全体どうしちゃったんだってばよ?オレ、そんなこと言ったっけ?」
「ないわよ。だから、これはただの憶測でしかないわ。」
「なら、この話は――」
「でも、アンタだって、薄々分かってきてるんじゃないの?」
「……」
「自分の、本当の気持ち」
ナルトの目を見た。真っ直ぐ向いていた青い瞳が少し影った。日が沈むにはまだ早い公園では、子どもたちが元気よく駆け回る。
「オレだって分からないんだ」
拳を握りながら出てきた声はナルトの本音。それはわかるわ。でもね、私。それじゃあ納まりがつかないの。
「つーかさ、サクラちゃん?サクラちゃんてばサスケのこと好きなんじゃねぇの?」
「好きよ」
「……なら、どうしてこんなこと」
「好きだからよ」
へ?ととぼけた顔をするナルトに、私のサスケ君に対する愛がいかに深いかをとくと語ってやった。
私は、サスケ君のことが好きで好きで好きでしょうがなくて、どうしようもないの。サスケ君にはいつも格好良くて、元気で、笑っていてほしいのよ。笑顔でいてほしいのよ。わかる?怒ったりイライラしたり悲しい顔を見たくないの。わかる?
気迫に押されてうんうんと頷くナルトを見ながら、マシンガントークを続ける。
だからね、 アンタを見てるとイライラするのよ。いっつもサスケ君を怒らせたり、イライラさせたり、邪魔したり。本当に腹が立つわ。助けてもらったらお礼くらい言いなさいよ。手伝ってくれたら感謝しなさいよ。手をのばしてくれたなら、それを掴みなさいよ。払ってるんじゃないわよ!
「そうやっていつまでも嫌いな振りして意地を張るから、冷たくされるのよ!」
最後にそう付け加えると、ナルトはビックリして、そして、落ち込んだ。泣きっ面に蜂かもしれないけれど、今回くらい許してよ。私だって、本当は悔しいんだから。好きな人を笑顔するのは、いつだって、自分だけでありたいのに。
「たまには素直にならないと……感謝されて、嫌な気持になる人なんていないはずよ」
キツイこと言って悪かったわ。付き合ってくれてありがと。立ちあがってそう言うと、ナルトはまだ俯いたままだった。
ナルト、本当はアンタにだって笑っていてほしいのよ。
その言葉は、伝えないでおくことにした。
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