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むかーしむかしのことだった。とある山に九本の尾を持つ狐が住んでいた。

その九尾狐はかなりの悪戯好きで、暇を見ては村へ下り、悪さをして帰っていくと言う悪癖を持っていた。

九尾狐は山の神様と言うこともあり最初は多目に見ていた村人達も、段々と酷くなる被害に困り果て、ついに、山から追い出そうと言う話になったのだ。







「と言うわけでサスケ、九尾を山から追っ払ってくれないか。」

「……なんでオレが。」

村長に呼ばれ伺うとサスケは唐突にそう告げられた。

九尾狐を追っ払う話は村中の噂になっており、いつ決行されるか気になってはいた。しかし、まさか自分一人が行かされるとは思ってもおらず、サスケは村長を睨む。

「九尾狐は悪戯好きの狐と言えども神様だ。並大抵の者では到底敵わぬ。オマエは村一番の切れ者だ。それにうちはの万華鏡もある。九尾狐を追い払うなど容易いものだろう?」

そんなサスケなどお構い無しと笑う村長に、サスケは納得がいかぬとなかなか頷かない。

はてさてどうしようかとうんうん悩み、村長はついにこう言った。

「それならどうだ、九尾狐を余所へやることができたらお主の願いを1つ叶えてやるというのは。小さな村だ。できることは少ないが、米でも酒でも女でも、お前さん一人くらいの願いなら聞いてやれんこともなかろうて。」

本当に小さな村なのだ。田畑を耕し作物を育て、必要最低限なものしかない村で、村人は支え合いながら生活している。

そんな村でどんな願いも叶えてやると言うのだ。これ以上の褒賞はない。

サスケも村には大層世話になっている身だ。そこまでして頼むと言われれば頷くしかない。

そうしてサスケは九尾狐を追っ払うため、山へ向かうことになったのだった。







「おい、化け狐!隠れていないでさっさと出てこい!!」

山へと入ったサスケは遠慮もなしに九尾狐を呼びつける。

そんな方法で出てくるとは到底思えないが、どうすれば神様に会えるかなど定例があるわけでもない。冒涜でもなんでもよいから、とにもかくにも九尾狐と話ができなければ意味がないのだ。

「ああ、もうどうすりゃいいんだ……。」

サスケはそうため息をつくと、首に提げていた万華鏡を覗き込み、キラキラと輝く紋様を眺めた。

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あきゅろす。
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