イタチとナルト
サスケがナルトくんにそのような行動に出るとは思ってもみなかった。
と、言いたいところだが全くもって予想通りでサスケは本当に素直だなと実感する。ただ、思ったよりも行動が早く、サスケの恋に関する問題が相当深刻であることが伺えた。そんなところが愛しくも悲しいのだけれども、兄としてサスケが全うに幸せな人生を歩んでいくことを願っているオレが、ナルトくんに言えることはただひとつだった。
「ナルトくんはどう思った。」
「どうって……。」
オレは顎においた手を外すと、よく分からないってばよ。と呟くナルトくんを見やった。
「サスケがした行為がどうであれ、ナルトくんは自分が感じた気持ちを大事にすればいい。」
「オレが感じた気持ち……。」
「そうだ。」
幼なじみとしてまっとうな友情を築いてきているナルトくんなら感じているはずだ。
サスケになされた行為に対する違和感を。
ナルトくんにとってサスケは仲間であり、好敵であり、最も親しい友である。そんなサスケからなされた一線を越えた好意的行動は友として何らかの違和感を感じぜざるを得ないはずである。
それが何なのかは分からなくとも、確かに、今までとは違った感覚が生まれたことを認める。そうすることで、お互いの関係を再構築・再確認することができるのである。
「でも、オレ自分の気持ちもよく分からなくて…どうしたらいいか。」
「よく分からなくていいんだよ。」
「え。」
ナルトくんは驚いたようにして顔を上げ、大きな瞳をさらに大きく見開いた。
「よく分からないってことがナルトくんの正直な気持ちだろ?」
そう言ってオレがナルトくんの肩を叩くとナルトくんはどこか納得した風にこちらを見つめた。
「それをそのままサスケに伝えてみたらどうだろう。」
このままギクシャクしているのは嫌だろう?とつけ足すと、ナルトくんは
「さすがサスケの兄ちゃんだってばよ!」
と言って立ち上がると
「ありがとだってばよ!!」
と元気よく帰って行った。
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