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ナルトとイタチ
「いってきます。」

サスケが家から出て、その後ろ姿が見えなくなったところで、オレは今まで隠れていた角から飛び出してうちは家のチャイムを鳴らした。

休日、サスケが部活のため朝早くから学校へ向かうのは知っていた。そして、その兄イタチは大抵まだ家にいることも知っていた。

伊達に長年友達やってきていない。そのくらいの情報は朝飯前だった。現に、今日は朝飯を食べずに家を出て、サスケが家を出るタイミングをずっと見計らっていた。

オレだって部活があるからそうチンタラはしていられない。

早くこの用件を済ましてしまいたかった。

朝早い訪問だったにも関わらず、みことさん(サスケのかーちゃん)は快く出迎えてくれて、イタチに相談したいことがあるんだ、と言うとどうぞと言ってあげてくれた。

リビングで寛いでいたイタチは、みことさんにナルトくんよと一言言われただけで、

「オレの部屋へ行こうか。」

と部屋へ案内してくれた。



イタチは物分かりの早い人だった。

「それで、オレに用事って?」

部屋に着くと、イタチはオレにクッションを渡すと適当に座って、と言うと早々に聞いてきた。

さっさも言ったようにオレには時間もなかったし、まどろっこしいのは元々苦手だった。だから、イタチにそう聞かれて、オレはストレートに打ち明けたんだ。

「オレ、サスケにキスされた。」

もちろん、イタチが驚いたのは言うまでもない。顔には出さないが、なんとなく、雰囲気でわかる。

これはサスケから修得した技で、サスケが普段から何を言っても表情が変わらない厄介な性格をしていためとにかく面倒臭かった。そんな彼と接して行くうちに、若干の雰囲気の変化を感じられるようになった。オーラというか、なんというか。

サスケはその感じが顕著に出るんだけど、イタチの場合はそこまでじゃない。ほんの少しだ。でも、その反応はよく似ていて、やっぱり兄弟なんだなぁ…と改めて実感してしまう。

「そうか、サスケにか……。」

顎に手を当てて考え事をする癖もサスケそっくりだ。

「うん…って言ってもほっぺただったけど……。」

初めは、キバやシカマルに相談しようかと思った。けど、サスケがホモだったなんてうちは家にとってみれば、口外不出の死活問題だ。これは内密に済ませなければならないだろうとオレは睨んだ。

それに、イタチはサスケの兄ちゃんってだけじゃなくて、オレにとっても気のおけない仲だ。

だから、イタチにしか相談できないと思ったし、イタチなら何かいい助言をしてくれるんじゃないかと期待した。

結果、オレはこの数日、イタチと話す機会を待ちに待ちわびることになった。ここで、何か解決法を見出だせなければ、オレはまた深い闇の中で泳ぎ続けなければならない気がしていた。

サスケは友達だ。

ここで友達って言ったのは、それ以上相応しい言葉が見つからないからだ。

サスケとは、もっと親密な関係である気もするし、逆に、全然関係ない、赤の他人のような気もしているんだ。

よく分からない。

けれど、なんだかんだ言ってサスケとは一番よくつるんでいたし、何より、一緒にいて一番落ち着くんだ。そこにいるのが当たり前で、空気みたいに、目には見えないけど生きていくためにはなくてはならない存在、みたいに感じていた。

そんなサスケから頂いたキスに、オレはどうすることもできなくなっていた。

学校にいて、みんなといるときは全然普通だった。けれど、ふたりきりになったときが非常に気まずくて、お互い避け合っているのが現状だ。

サスケがどうしたいのか分からなかった。

オレは、どうすればいいのか分からなかった。

キスと共に、愛の言葉を囁いたのなら、それはそれで意味をなしたと言うのに、そんな言葉は何ひとつ存在しなくて、あのキスに、何か意味を見出だせずにただ悶々とした日々が続いてしまっていた。

オレは一体どうすればいいんだ?

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あきゅろす。
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