サスケとナルト
兄さんに思いを伝えた翌日、学校へは行ったがそのやり取りが思い出され、やるせなかった。
授業中はずっと上の空で内容なんて全く頭に入ってこなかった。
兄さんは『似たような感情を抱かせてくれる人がオレ以外にもいるはずだ。』と言ったが、オレこんな感情を抱かせてくれるやつなんて他にやしいない。
なんだかんだ言いながらしてくれたあのキスが頭について離れない。
一体どういう意味だったのだろう。
あれも親愛のひとつだと言うのだろうか。
手を頬に当てると、サスケはため息をひとつ落とした。
どうすればいいかわからないまま放課後になって、家に帰る気なんて全くしなくてナルトの家に上がり込んだ。
腰を落ち着け、ひとりになると兄さんを思い出して涙が止まらなかった。
膝に置いたカエルの黒い瞳に映るのは兄の面影だった。
兄さんは、オレの抱く感情は親愛だと言った。もし、兄さんに抱く思いと、ナルトに同じような感情を抱いているとわかったなら、きっとそれは親愛なのではないかと思った。
もし違ったら……。
オレは自分の気持ちを確かめたかった。
ナルトが声を掛けてくれたのをいいことに、オレはナルトを利用した。
ナルトは学校で一番よくつるむヤツだし、学校以外で遊ぶやつもナルトしかいない。最も親しい友と呼べるナルトだからこそ、親愛と呼べる関係なのではないか思った。
だから、兄と同じように、キス、してみた。
そうすれば、ナルトとの関係がはっきりすると思った。
「……。」
「え……。」
それは、ものスゴい衝撃だった。
ほんの一瞬、身体の上部に存在する一器官、このカエルでいう瞳の大きさしほどかない部分が相手の上皮に触れただけだというのに、今まで感じたことのない、まるで、大気圏を越えて宇宙の果てまでいってしまって、ビッグバンで弾け飛んでしまったかのような、そんな衝撃を憶えた。
このままではいけない。
脳みそが警鐘を鳴らすやいなや唇を離すと、
「もういい。今日は帰る。」
とだけ言ってナルトの家を出てきてしまった。
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