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ナルトとサスケ
「めっずらしいな、お前から遊ぼうなんて言うの。」

「気まぐれだ。気まぐれ。」

学校帰り、今日お前ん家に行くと言ってうずまき家に転がり込んだのはうちはの次男坊。お邪魔しますと家に入ると飲み物持って行くから先部屋行ってて、と部屋に案内された。お世辞にも綺麗とは言えなかったが、人が生活している空間ではあるなと感じた。

サスケは、そこら辺に転がっていたカエルのぬいぐるみをひっつかまえると自分の座るスペースを確保した。そして、サスケが座ったせいで行き場のなくなったカエルは膝の上に安置させてみた。

ちょっとすると、そのカエル可愛いだろ?と言ってナルトが戻ってきた。お盆を置くとがさごそとゲームカセットを漁りながらナルトは聞いた。

「何して遊ぶ?って言っても家ゲームくらいしかないけど……。」

振り替えると、サスケがカエルを見つめながら、人生のドン底みたいな顔してうつ向いていた。

「どうしたサスケ。」

「別に。」

「別にって……。」

声をかけても顔を上げないのはサスケにとって珍しいことだった。礼儀正しく育った坊っちゃんだから、相手と話すときは必ず目を見て話すのが彼の癖だった。そんな彼がうつ向いたまま話すなんてことは日常ではあり得ない。



「お前泣いてんじゃん。」



よく見たらカエルがずいぶん濡れていた。

「幻覚だ。」

「いやいや。強情っぱりにも程があるってばよ。」

「……。」

プライドの高いサスケが泣くほどなんて、相当な悩みがあるのだろう。まだ冗談が言えることに安心したが、最も親しい友としてその悩みを解決してやりたいと思うのは当然のことだろう。

「なんか、相談に乗れることあんなら言えよ。いつでも聞くから。」

そう言うと、また深刻に悩みだしたサスケはついに真剣な眼差しを持ってナルトを見やった。

「お前。」

「うん。」

ごくりと生つばを飲み込んで頷けば不安げな表情のサスケ。

「オレがこれから何しても怒らないか。」

「うーん?それはやってみねぇとわかんないってばよ。」

一体何をするというのか、正直ビビっていたナルトは思わず思案したが、

「……。」

「わかったよ。わかった。そんな目で見るなってば!極力、努力はするってば。」

サスケの怒ったような、落ち込んだような、乞うようなそんな瞳にに敵わずうんうんと承諾した。

「……じゃあ、目をつぶれ。」

「こう?」

ドキドキしながらも、言われた通りに目を瞑ったナルトに、いいか、動くんじゃねぇぞ。といちいち念を押すサスケ。焦れったくなったナルトは

「わかったから早くしろってば。」

と言うと、

「……。」

「え……。」

「もういい。今日は帰る。」

何が起こったか変わらないうちにじゃあ。と言って去るサスケに、ナルトは何も言えなかった。

パタリと閉まった扉にようやく我に返る。

ナルトは今起こった出来事――頬に当たったふわりとした感触――がキスだと分かるまで、扉を見つめることしかできなかった。

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