昼休み(下)
「でもよぉ、」
ナルトとキバがじゃれあっている姿を、遠巻きに見ていたシカマルが言った。
「アイツ、苦労してるみてーだぞ。」
「「え。」」
太陽が雲で隠れ、再び風が吹いた。太陽の温かさが失われてしまえば、心地よい春風も少し冷たく感じた。
「なんか、家族が不仲とかで一人暮らししてるらしいし。」
そう言って飲みかけたペットボトルに口をつけると、チョウジが付け足すように「生活費を自分で稼いでるって誰かが噂してたね。」と言って、3個目の爆弾おにぎりを口にした。するとキバが、さぞかしいい話を聞いたかのようにナルトの方を向き、
「アイツ『も』苦労してんだな。」
と言ってからかった。ナルトは、別に、と言って頬を膨らまし、そっぽを向いてしまった。キバはそんなナルトを無視して、最後に一口だけ残った焼きそばパンを口に放り込んでしまうと、話をサスケに戻した。
「ってかさー、アイツ友達いんのか。」
「なんで。あんだけモテてるんなら選り取りみどりじゃねーの。」
「それとこれとは話が違うだろ。」
膨れっ面のままナルトが答えると、シカマルがすかさずフォローした。しかし、ダチと飯食ってる姿見たことねぇとか、下校もひとりだとか、キバがあれこれ付け足すと、チョウジが、
「確かに、うちはって近寄りがたい感じするよね。」
と、言うと、あー。となんとなく納得した雰囲気が流れた。
「まぁ、人それぞれって言うしな。」
空になったメロンパンの袋を丸めながらシカマルがそう言うと、ナルトはふーん。と言って空を仰いだ。
空は青く、雲から覗き出た太陽が眩しかった。
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