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さらにその後※
それから、トマトが食べたくなくなるとオレは口移しで食べさせてもらうようになった。

少しだけナルトに噛み砕いてもらってから汁ごと注ぐように受け取った。

ナルトの口の中でほんの少しぬくもりを持ったトマトがオレの口の中に広がる。

「ウマイ?」

とナルトが聞くので

「ヌルイ。」

と答えた。



数日経つとトマト以外にも食べられるようになってきたオレは、散々罵倒してきた病院食も口にするようになった。

そのぶん、ナルトからの差し入れも減ってしまったが、1日1回必ずキスをした。

なんとなく続いてきたそれは、いつしかトマトなしでも行われるようになっていたのだった。

でもある日、

「なんかおかしいってばよ。」

とナルトが言ったので、それから触れることはしなくなった。



体力が戻って来ているのを感じたオレは、鈍った体を戻そうと自主トレを始めていた。ナルトや看護士に見つかると何を言われるか分かったもんじゃなかったから、隠れてひっそりと行った。

それがマズかったのかもしれない。

しばらく経ったある日の夕方、久々に食欲が減退していたオレはナルトが来ている手前それを悟られないよう無理にと食事を進めた。

もちろん、そんなオレの気持ちを聞いてくれるはずもない胃腸は、中途半端に消化した食料をもといた場所に戻してしまった。

急に顔色を悪くしたオレに、驚いたナルトはオレの吐いた物を手で受け止めた挙げ句、ナースコールも押さずに看護士を呼びに飛び出して行った。

その間、オレは独りで泣いていて、とんでもなく情けないと思った。

看護士が来ると吐瀉物を手で受け止めたことをナルトはこっぴどく叱られ、適切な対処とナースコールの存在を強く指導されていた。

それから、オレに

「調子の悪いときは無理して食べなくていいですよ。」

と言うと爽やかな笑顔で去っていった。



「なぁ、まだ具合悪い?」

横になって動かないオレをナルトは心配そうにのぞきこんだ。

「いや、別に……。」

みっともない姿を見られたオレはなんだか気まずくて目を合わせられずにぼそりと答えた。

しかし、まだ何か言いたげにしているナルトに

「なんだよ。」

と聞くと、

「キス、しないの?」

と聞き返してきた。



「おかしいんじゃないのかよ。」
「うーん。何て言うか、ほら。しなくなってからじゃん?サスケの調子がまた悪くなってきたの。」

そうだったのか。全く気づかずにいたが、自主トレを始めた辺りとキスを止めた日は同じだったらしい。

「それに、おかしいって思ったのはキスのことじゃなくて……オレの方だってばよ?」

そう、意味深な言葉を発したナルトは

「だからさ、する?」

と小首を傾げて聞いてきた。それに対して、オレは素直にうんと言えなかった。



「別に…関係ないだろ。」

興味なさ気に寝返りを打つとナルトが焦ったように話を続ける。

「でも、オレ早くサスケに元気になって欲しいってばよ。」

そう言ってナルトはオレの顔が見えるように回り込んでくるとだからしようと言って目をつぶり唇を突き出した。

オレはバカらしくって、ナルトの頬を両手でバンと挟んでやった。

「なにすんだってばよ!」

おそらくそう言ったであろうナルトにオレは低く囁いた。

「じゃあオマエ、オレが早く治るためだったらなんでもするって言うのかよ。」

「当たり前だってばよ。」

頬を挟まれたままのナルトは頼もしくもそう笑うと

「サスケは何して欲しいんだってば?」

愛くるしいカラダをオレに捧げた。



オレを慰め、下で散々鳴いたナルトは「また明日な」と言って今日もまた帰っていった。

それからしばらくして、オレは無事退院することができたけど、奇妙なその関係は未だに続いていた。

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あきゅろす。
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