愛の試練1
「いいか、お前ら。一度しか言わないから良〜く聞け。」
日も沈み始めた時刻。今日は特別演習だと言って第7班は集合した。
薄暗い森の前に立たされたオレたちは、担当上忍カカシからメンタルの向上とチームの絆をより強固にするための演習だと言ってルールを説明した。
要は胆試しだ。
森の奥にある祠の賽銭箱に小銭を入れて戻ってくる。
それだけだ。
ただし、こんな森だから何が出るか分からない。その上、要所でクリアしなきゃならない課題をこなした上で行かなければならないと言うことだ。
それから、条件は二人一組。どっちかひとりが先に行ったり、単独で行動することは許されない。と言っても、ひとりだと絶対にクリアできない課題ばかりだから不可能だそうだ。
ペアを変えてひとり計2回行くことになるらしい。
そこまで聞いて班員であるサクラが尋ねた。
「2回行くってことは出される課題とルートはどうなるの?」
「良いとこに気づいたな、サクラ。安心しろ。この森には課題もルートも同じにならない仕掛けがそこかしこに存在するから見覚えがあってもすぐ初めての道に変わる。」
「……厄介だな。」
「その為の演習だからね。」
ルールと仕組み、総じて評価したオレにカカシは笑った。
「他に質問はあるか。」
問えば珍しく今まで一番大人しくしていたヤツが答えた。
「お化けとか、出たりするのか?」
「んー…この森は何が出るかわからない、からな。可能性がないわけじゃないだろうな。」
「へ、へー!」
カカシから答えをもらい、ナルトは動揺を隠しきれないようだった。
「なによ、アンタ怖いの?」
「こ、怖くなんかねーってばよ!!」
サクラに聞かれムキになるナルト。
「だったらサスケの方が……!」
と言った所で目があった。
瞬間、ナルトは苦虫を潰したような顔をして
「……なんでもねーってば。」
と声を小さくした。
オレは内心舌打ちをして、
「さっさと終わらすぞ。」
とカカシを急かした。
オレ・サクラ、サクラ・ナルト、そして、ナルト・オレ、の順番で巡ることになった。
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