なんとか2人の仲を取り持とうと四苦八苦するサクラ
集合場所に着くとカカシ先生はやっぱり来てなくて、7班の私たちは今日も待ちぼうけだった。
しかし、なんだと言うのだこの空気は。空気と言っても、ジメジメとした初夏の蒸し暑さを言っているのではなくて、サスケくんも、そして、いつもうるさいナルトでさえもだんまりで全く口を聞きやしない。
正しくはしていなかった。
私が来ると、ナルトは私に一生懸命話しかけて、なんとかその場をしのごうとしているのがひしひしと伝わってきた。
前ならそんなこといくらでもあった。ナルトはサスケくんに対して必要以上にライバル意識剥き出しで、口を開けば争いばっかりしていた気がする。
それでも最近はそんな雰囲気も和らいで、普通の日常会話ができるくらいの仲にはなっていたんじゃないかと思っていた。
帰りだって、ナルトとサスケくんが一緒に帰ることもあるくらい。ふたりの仲は良くなっていた。
それなのに、今日来てみれば険悪…と言うよりもっと酷い。例えて言うなら、ふたりの間に底の見えない深〜く奈落の谷が出来上がっているような、そんな感じ。
昨日は任務が休みだったから、もしかしたらその間に何かあったのかもしれない。あるいは、私がここに来る前に、ひと波乱あったのかしらとナルトの話しに頷きながら、私は思案を巡らせた。
気になった私は任務が終わるとナルトを茶屋に連れ出した。餡蜜とお汁粉を注文したところで私はストレートに聞いた。
「サスケくんと何かあった?」
当然、喜んで着いてきたナルトはギクリと肩を震わせて、
「なんでもないってばよ。」
と目をあからさまに反らした。そんなバレバレの嘘ついたって誤魔化せるはずないでしょう。
女将さんが注文した品を持ってくると、あたしはそれをどっちも受け取って、これが欲しかったらさっさと白状なさいと詰め寄った。
吃驚したナルトは
「だからなんでもねーってば。」
とさっきと同じ言葉を繰り返したけど、今度はうつ向いてテーブルの上に置いていた指をいじりだした。
「ケンカ、したの?」
「そんなんじゃねーってば。」
心配気に聞けばようやくナルトが答えたので、少し安心した。
でも、ケンカじゃないとしたら、何?
「サスケくんに嫌われた?」
ナルトは首を振る。
「嫌いなものをあげた?」
「嫌がらせをした?」
「嫌味でも言った?」
ナルトは全く首を縦に振らない。
私も頭がいいとは言われたけど、これじゃあ全く検討がつかない。だから、もういいわって思って、「サスケくんに告白されたとか?」って軽いノリで聞いたら、
「な!サスケが告白って……ええッ!?」
思わぬ反応を得たのでこれだ!と思った。
「サスケくんに告白されたの!?」
「サスケがそんなことするはずねぇってば!!」
「じゃあナルトがしたの?」
ナルトは首をブンブンと横に振る。煌めけ私の頭!脳みそをフル回転させて私はナルトに問い続ける。ふたりが気まずくなるようなシチュエーションを頭の中でいくつも巡らせた。そうして辿り着いたひとつの答え。
「サスケくんの告白現場を見たとか……!」
ナルトが一瞬フリーズしたように見えた。
「何…見たの?」
「……見てねぇってば。」
「じゃあ…どうして……。」
そんなに落ち込むのよ。
それは言葉にならずしてため息と共に消えた。
サスケくんが告白されるとナルトが落ち込むっていうのはどういうこと?ナルトはサスケくんに気があるってことなの?それは、男同士だからあり得ないって思っちゃってるの?まぁ、普通だったらそうよね。悩むに決まってるわ。そしたら何?昨日はとても意識するきかっかけか、あるいは自覚するきかっかけでもあったの?
私は聞いた。
「あんた、サスケくんが……好きなの?」
ナルトは目を見開いて、驚いたような、絶望したような、不安定な未知の世界を覗き込んだような顔をした。
揺らぐコバルトブルーが色鮮やかだった。
「なんだ。そうだったの。」
そう言うと、ナルトは顔を真っ赤にして頭から湯気を出していた。
「サスケくんに言ったの?」
分かっててもう一度聞いたら、言えるわけねぇってばよ。と落ち込んだ。
意地悪してゴメンね。コレあげるから、元気出しなさいよ、ともう温くなってしまったお汁粉を渡すと、ナルトははにかんで、もともとオレのだってばよ、と言った。
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