怖くて不安で堪えられなくて、自分で自分の居場所を失くしたナルト
気になったんだ。サスケの前で他のやつの話をしたらどうなるのかって。
そしたら、想像以上にサスケは動揺して、口からこの世の言葉とは思えない罵倒の言葉を浴びた。
面白いものを見たなと思ったと同時に、思いの外その言葉の数々はオレの心を抉って、悔しいながらオレは目から水の小さな塊を落としてしまった。
もうここにはいられない。
オレは席を立つともう二度とこないであろう家を去った。
出会った頃のオレ達は最低最強に悪かった。顔を合わせればケンカばっかりしてて、毎日心が傷だらけだった。
それでも、一緒に任務をこなしていくうちにだんだんとケンカの数が減って、修行なんかを一緒にやるようになって、ついには互いの家を行き来するまでになった。
嬉しかった。
いつも一人だったから。
一緒の空間にいることが当たり前で、それが当然で普段で。
温かかった。
そして、いつの間にかサスケを意識するようになった。
ドキドキして、この胸の高鳴りをどうすればいいのかわからなかった。
わからなくて、不安になった。
不安で不安で仕方なくて、だったらもういっそのこと壊してしまえばいいと思った。
オレは独りに慣れすぎた。
いつまた独りになるかわからない。
もしかしたら、サスケはいつか綺麗な女の人をこの家に連れてくるかもしれない。
サスケはモテる。いつそんな状態になったっておかしくない。
そんな様子をオレは黙って見ていられるだろうか。いつものようににっこり笑って、おめでとうっていえるだろうか。
そんな不安を抱えるくらいだったら、そんなもの先に壊してしまおう。もう二度と、戻れないように……。
だから、試してみたんだ。
思惑通りだった。
むしろ、思惑以上にコトは進んで、自分は、自分が思っていた以上にサスケが好きだったらしかった。
笑っちゃうってばよ。
サスケに嫌われてしまえばいいと思っていたのに、嫌われて出てけ二度とこの家に足を踏み入れるなって言われるのを待っていたのに。オレが先に堪えられなくなった。
逃げ出した。
玄関の扉を開けると、外はザーザー降りの雨で跳ね返りのせいで視界が曇っ前が見えなかった。
その中を、オレはがむしゃらに駆け抜けた。
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