放課後(上)
ホームルームの終わった教室では別れの挨拶が聞こえてきた。ナルトは机に肩肘着きながら、キバにじゃあなと声をかけた。
「おう。そっちは…あ、補習だったっけぇ?頑張れよぉ。」
「っきー!ムカつく!!」
わざと語尾を伸ばすキバにムキになるナルト。
「キバァ、置いてくぞ。」
そんなところにシカマルからお呼びがかかったキバは、
「わりぃ、今行くー!」
と荷物をまとめ、ナルトにじゃあなとつけ足して、後ろのドアから去っていった。
ナルトはおぅ!と姿が見えなくなるまで見送った。前を向くと、席替えをしたばかりの教室が、いつもと景色が違って見えた。
今、その景色の中に、以前は後ろにいたアイツもいるのだけど。
「はい、じゃあ追試組は今から補習ね。」
人が出払ってしまうと、残ったのはナルトとサスケ含め、4人だけだった。
と言うか、あの天才秀才な彼がナゼ?と思ったが、そういえばテストで出席番号順に並び変えたとき後ろの席が空いていたことをナルトは思い出していた。
「用紙はいったかー。」
手渡ししたんだから当たり前なのに、そんなことまで確認する。
先生は、時計を見ると、秒針が12のところで「ハジメ」と言って、鉛筆を持たせた。
追試は、本試験ほど難しくはないが、頭のよろしくないナルトは筆の進みもよろしくない。そんな環境の中で、ツカツと軽快な音が1つだけ交じる。
それはもちろんサスケのもので、ナゼ当日に休んだのか甚だ疑問である。サボりではないだろうが、まさか風邪をひいたのだろうか。
ナルトはあれこれ考えているうちに、バイトを掛け持っているだとか、親や、友達すらもいないだとかいうことを思い出した。
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