短編集 遠い海 6 ぐちゅ、ずちゅ、と濡れた音がしていた。 体がどろどろになっていく感じがする。 「アート…」 「ん?」 アートの目も声も優しい。 それにすがるように、僕は言った。 「もっと…」 「あっ、あぁ、はぁ…、く、ぅんっ」 「レッド……ん…」 声が止まらない。アートは何度も僕の中を出入りして、僕の奥の奥まで責め続けた。 「あ、変…すごく、気持ち良くて…」 「俺も。頭ん中、おかしくなりそう」 アートの声が、聞いたこともないくらい優しくて、セクシーだった。 でも僕の声の方がおかしい。 甘えるみたいな声。ちょっと泣き声だし。 腰が痛いから、何度か体勢を変えて僕達は繋がった。 「出していい?」 後ろからアートが耳に口を寄せて囁いた。 僕、どうかしてる。 その声だけで、イける気がした。 僕が何かを答えるより前に、アートが何度目か、僕の中で熱いものを吐き出す。 それに奥を刺激されて、僕はもう性器から何も出ないのに、体を震わせていってしまった。 「は…ぁ」 体を倒して、横になる。アートが後ろから僕の中に入ったままだ。 「はぁ、はぁっ」 お互い、息が荒い。 それなのに。 「あ、あぁっ!?」 アートが腰を揺さぶり出した。 横になっているから強くはないんだけど、すごく敏感になっているからそれだけの刺激で反応してしまう。 「どろどろだ」 繋がってる部分に手をやってアートが言った。 「うん…」 太股にまでぬるぬるしたものが垂れてきていることにさっきから気づいてた僕はうなずく。 アートの腕が後ろから回って僕を抱き締めた。 僕はその腕に手をかけて外させると、後ろも一気に引き抜いた。 「ひぁっ」 一気に抜いたせいで辛かったのは僕の方だ。 また絶頂に達したみたいになって、しばらく体が動かなかった。 「どうしたんだ?」 なんとか、くるりと体の向きを変えて、アートを抱き締める。アートもまた僕を抱いてくれた。 「アートのこと抱き締めたかったから…」 「可愛いこと言うなよ」 アートがくすっと笑った。 「俺の言うこと、信じられるだろ?」 「何が?」 「オマエは可愛い。でなければこんなことしない」 「う、うん」 信じようと思った。 抱き締めるアートの手は優しいから。 ……今なら、言えるかも。 アートの胸に顔を埋めている今なら。 「アート……」 「なんだ?」 「僕、アートのこと好きかも知れない」 「…………」 アートはちょっと黙った。 それから、突然、僕を突き放す。 「なにするんだよ」 「気持ち良かったから、そんな錯覚に陥ってるだけだ。忘れろ」 そう言ってアートは起き上がった。 床に散らかっている服をさっさと着てしまう。 まさかもう行っちゃうのだろうか。 僕は慌ててアートの腕を掴んだ。 「待ってよ。なんでそんな急に」 急に冷たくなるんだよ。 ……いや、違う。 優しいアートの方が嘘だ。 アートはいつも僕には冷たいんだから。 そうか。僕がアートの言うことを信じたから、それでもう、今夜のことは終わりなんだね。 アートは僕に信じさせるためにしたんだから。 僕は振り払われる前に手を放した。 「ひとつだけ信じてよ……僕は別に、気持ち良かったからアートのことが好きなんじゃなくて、ずっと前から好きだったんだよ」 「錯覚だ」 アートはそう言い捨てると、窓から出て行ってしまった。 あまりにあっさりと去ってしまった。 僕、どうしたら、いいんだ……。 なんで僕、いきなり失恋しちゃったんだろう。 相手が悪かったんだ。 だってアートだもん。 粗暴で理不尽で僕のこと嫌ってたって言ってたアートが相手なんだから、振られて当然。 そんなこと言い聞かせたって、涙が出てしまうのは仕方ない。 泣いていると、明け方頃、部屋の扉がそっと叩かれた。 控えめな音は、点呼時間前に部屋から出歩くことは禁止されているからだろう。 でも、誰? まさかアート? 期待して僕は扉を開けた。 すると、立っていたのは右隣の部屋のミッジだ。ひょいっとミッジの後ろから、左隣の部屋のジョーも顔を出した。 「え? な、なに?」 「ちょっと……いいか?」 「うん」 二人は部屋に入ってくると、居心地悪そうに扉付近に立ち尽くした。 寮の隣部屋と言っても、ろくに話をしたことはない。だから、僕も居心地が悪かった。 「あのさ…」 切り出したのはミッジだ。 「アートと、つき合ってるのか?」 「え!?」 なんでそんなこと言われるんだろう。 僕がきょとんとしていると、ジョーが苦笑いして言う。 「あのさ、防音の部屋じゃないって知ってるだろ? 声大きいんだよ、あんた」 うわぁ……聞かれてたんだ、さっきの、あの…声が。 確かに、寮はしっかりした造りでさすがは高い設備費を生徒から徴収するだけのことはある。けど、生徒の不祥事を防ぐためにも完全に防音なわけではなく、怒鳴ったり硝子を割ったりすれば音が外に漏れるのだ。 特に、ベッドの横の壁は、ジョーの部屋の方だ。 真っ赤になってうつむく。 「あの……ごめん、うるさくして。でも、先生には言わないで欲しいんだけど…」 「ああ、俺達は言ったりしないけどさ。ただ、あんたがアートとつき合ってるのかどうか気になって……。二人で逃避行したくらいだから、そういう仲なのかなとは思ってたけど」 「今まで君達がつき合ってるなんて知らなかったよ。それにもしかして……今夜、初めてエッチしたとか?」 「なんでわかるのっ?」 しまった。 違う。こんなふうに言ったら、二人の言ったこと全てを肯定してしまったことになる。 「あの、違うんだよ、僕とアートはつき合ってるわけじゃなくて、エッチしたのは……えっと、……」 ああ、あれはエッチだったのか。 そうだよね。そう言っても間違いじゃないよね。 あんなに卑猥なことしたんだから。 「えっと…いろいろ、事情が」 「事情って……まさか、ここが男子校で女がいないから君が女の代わりにされたとか、そういう事情?」 ミッジが眉間に深いシワを寄せて言った。 明らかに不快な表情だ。 でも僕もその言葉に顔を歪めた。 まかさアート……そんなつもりじゃないよね。 僕のこと「可愛い」って言ったのは、エッチする対象にしたいっていう意味なんじゃ……。 「違うよ。いろいろ事情があるんだよ」 詮索されたくない雰囲気で言った。 それなのに二人は、 「教えてくれないなら、先生に言うしかないな」 「口止めしたいなら事情は説明してもらわないと」 事情って言ったって……。 「わかんない。僕はアートが好きだからしたんだよ。でもつき合ってるわけじゃなくて。だから、事情はアートに聞いてよ」 アートならうまく言い訳をしてくれるはず。 だから僕はそう答えた。 その日の放課後、アートが謹慎中にも関わらず傷害事件を起こしたと聞いた。 相手はミッジとジョーだと聞いて、僕は血の気が引いた。 僕のせいだ、きっと。 アートは謹慎が1週間延びただけで済んだと聞いてほっとした。 でもやっぱり謝らなきゃ。 その夜、再び僕は窓から外に出た。 アートの部屋なんてあまり行かないから、一瞬どこだか迷った。 でも僕がうっかりしていただけ。 優等生のアートがどこに住んでるかなんて、誰でも知っていることだった。 一番いい部屋、一階の角部屋と決まっているのだ。 僕は背伸びをして、外からだとけっこう高い位置にある窓を叩いた。 こんこん、と最初は軽く。 でも返事がないので、次にはごんごんと勢いよく叩いてみた。 すると、ざっとカーテンが開く。 アートと、一瞬目が合った。 「アー…」 名前を呼び終わる前に、また、カーテンは無情にも閉められてしまった。 ひ、ひどい…。 目が合ったのは本当に一瞬で、アートはすぐに目を逸らしてカーテンを閉めてしまった。 そんなに僕の顔を見たくなかったのか。 再び窓を叩く勇気もなく、その場を立ち去る元気もなく、僕はうずくまった。 いつもいつも自分勝手だ。 昨日は自分から僕を連れ出しに来たくせに、僕が来たら無視なんて。 くそー……。 「…………」 くそー……。 「アートの馬鹿っ!」 僕は力の限り叫ぶと、立ち上がってその場を走り出した。 いくつかの部屋の電気がついて、 「なんだ?」 「誰だ?」 と、次々に寮の窓が開いたけど、暗いから僕には気づかなかったようだ。 「誰だ?」 「静かにしろ。舎監が来ちまうぞ」 という声だけが聞こえた。 そして。 アートの部屋は、電気もつかなかった。 そして、謹慎一週間目、僕の部屋に先生が来て、院長室へと連れて行かれた。 アートは先に来ていて、ソファで院長先生と向かい合って座っていた。 それはいいんだけど、院長先生の隣に見知らぬおじさんが座っている。 でも、何故かその人を知っている気がするのだが……。 「座りなさい」 院長先生に言われて、僕は空いているところに座った。アートの隣しかない。 僕を連れてきた先生はすぐに退室してしまった。 「レッド、実際に顔を合わせるのは初めてだね」 おじさんが何故か僕の名前を呼んだ。 そして笑顔で名乗る。 「初めまして。アートの父親の、リステ・ミゲートと申します」 「アートのパパ!?」 僕が驚いてそう言うと、院長先生が驚いたように目を見開き、隣のアートが僕を腕でつついた。 えっと……驚きすぎちゃったかな。 僕は慌てて笑顔をつくった。 「初めまして、レッドです。あ、名前は…もう、ご存知でしょうけど」 「もちろん。さて、では院長先生と君達に、説明しておかなければね」 そうそう。なぜ、ハイジャック犯であるリステさんがここにいるのか、すごく疑問だ。 軍隊に連れて行かれたはずなのに…。 リステさんはこほんと咳払い。 「実は、院長先生。先日私の息子とレッドが巻き込まれた飛行機ハイジャック事件ですが、これは非公開の軍のハイジャック訓練だったのです」 「!?」 えーーっ!? 驚いたのは、院長先生だけじゃない。 僕もアートも驚いた。 「完全非公開の訓練です。ですから、アートとレッドにも何も知らせず、飛行機に乗るように指示しました。学院側には事後承諾という形での報告となってしまいましたが、機密事項でしたので、お許し下さい。生徒を危険な目に遭わせたことは、深くお詫びします」 「なるほど…」 院長先生はやけに落ち着いて答えた。 「先日のハイジャック事件の飛行機の乗客が、全員、当校の大学部の学生だったのは、そういう理由があったのですね」 「え? 大学の、学生だけ??」 飛行機の乗客がやけに若い人ばかりだと思ったけど……まさか。 リステさんはゆっくりとうなずいた。 「先日、大学で軍隊の訓練場見学に行く希望者を募って、あの飛行機を私の名前で貸し切った。毎年、軍隊の就職試験の前には訓練場見学というのは、どこの大学でもよくやっているからね」 「はぁ……それでその飛行機を使ってハイジャック訓練を」 「そう。実行したのは、私が雇った傭兵だ。正規の軍隊の人間ではない。その方が、危険度は増すからね」 うわー……そんな無茶な訓練をするなんて。 しかも、参加していた大学生達は、そんな訓練の最中だなんて知らされていないのだ。 それにしては円満に解決したものだ。ほんとに。 「私も色々と今回の訓練に関して事後処理があった為、アートとレッドのことが後回しになってしまい、余計なご心配をおかけしました。院長先生、そういう理由ですので、二人の謹慎処分と退学処分については……」 「はい、わかっています。こちらも事情がわからず謹慎処分を下しましたが、すぐに解いて公欠扱いにしましょう。退学も取り消しです」 この言い方をすると言うことは……アートの退学処分が決まっていたってことだ。 僕はとっくに退学が決まっていたんだけれど。 そうして、僕達は謹慎も解かれたし、平穏な学校生活に戻ることが出来た。 僕とアートとリステさんは、そろって院長室を出た。 しかし、廊下に出るなりアートがリステさんを睨むようにして見上げると、きつい口調で尋ねる。 「貸し切っていたのに、俺達が飛行機のチケットを取れた理由は?」 すると途端にリステさんの目つきは冷たくなった。 「何を言っている。チケットを買う時に私のカードを使っただろうが。私の名前で貸し切られた飛行機だから、勘違いをして空いている席のチケットを渡したんだろうな」 「あー……」 アートはチケットを買った時のことを思い出しているんだろう。 ぼんやりと呟いた。 「やけに時間がかかったのは……そうか」 「そういうことだな。訓練中で私とは連絡がつかなかった為、窓口係の責任者がチケット発行許可を出したそうだ」 「アートのせいじゃないか」 僕も同じように冷たい目でアートを見る。 あんなに怖い思いをしたのも、アートが無理やり僕を連れて行ったからだ。 あんなに、足がつくといけないとか言っておきながら、父親のカードでチケットを買うなんて迂闊だ。 アートは気まずそうに僕を見た。 「さて、私はもう行かなくては」 「待てよ」 立ち去ろうとしたリステさんをアートが追いかける。 何だろう? 僕も一応ついて行った。 門の方へさっさと歩いていくリステさんを早足で追いながら、アートは問いかける。 「パパがどうして軍隊の訓練に参加していたんだ!?」 「ああ…それか」 リステさんは立ち止まると、僕とアートに向かって満面の笑みを見せた。 「一度、ハイジャックってやってみたかったんだよね。でも実際にやったら犯罪でしょ? だから友達の軍司令官に相談したら、訓練の名目で許可がおりちゃってさ。そりゃもう張り切ったよ。傭兵まで選りすぐって雇って、武器も準備して。それなのに君達のせいでおじゃんになっちゃったよ」 残念そうに、ひょいっと肩をすくめて見せる。 この人……アートとは違う意味で本性は危ない人だ。院長先生の前では紳士だったのに。 「リステさん、じゃぁ僕が犯人に襲われたのは?」 「彼らの勝手な遊びでしょう。ほんとにやるつもりはなかったんじゃない? 傭兵だし、腕が良くても素行はちょっとねー…」 あっさりと言ってくれる。 僕とアートはそんな結末に、呆然として、去っていくリステさんを見送っていた。 取り残された僕とアート。 学校の中庭で、門の前にとまっていた高級車が発進する様子を見送ってしまった。 しばらくしてから、僕はアートを振り返る。 「アート……君のせいで」 「俺のせいじゃなくて、あの父親のせいだ」 「親子そろって、ほんとにもう…………ろくでなし!!」 叫んだ、その瞬間、 ぱぁんっ! と、頬に衝撃が走った。 痛みよりも、アートに殴られたことがショックだ。「一緒にするなよ」 アートの目がきつく、僕を睨んでいた。 「一緒にするなよ……俺は、ハイジャックされてた間、オマエから引き離されて心配で心配で、助けなきゃってそればっかり考えてたのに……」 あれ、アートの声が震えている。 アートの目に涙が盛り上がってきた。と思ったら、それがこぼれ落ちる前にアートが叫んだ。 「オマエは無茶して犯人に乱暴されるし! 手を滑らせて頭打っただろ!? 間抜け! そういえば病院行ってないだろ。頭打ったんだから病院行け! オマエはせっかちでおっちょこちょいだ! 俺を詰る権利があるか? 俺が助けてやろうと考えてた時も犯人と和んでたりしたんだろうが!」 なんだその言いぐさ。 僕に権利がないって……理由がない。 「心配してなんて頼んでない! アートのせいでまき込まれたんだから、助けるのは当たり前だろ!」 言い返した途端、再び、すぱぁんっ!と頬をはたかれた。 さっきとは逆の頬を。 なんで殴られるんだ。 「う…」 さっきまでアートが泣きそうだったのに、僕の目からは涙がこぼれた。 門の前の中庭は、滅多に人が通らない。生徒は門に用事があることは滅多にないし、学院の敷地はやたらと広いからこんな端っこまでわざわざ来ない。 とは言え、絶対に誰も通らないわけじゃない。 泣きながら、早くここを立ちさらなきゃと思った。 「僕……アートなんか、大っ嫌い!」 叫んで、身を翻した。 でも、これじゃいけない。 こんなことじゃ、駄目だ。 僕は2、3歩走っただけですぐにまたアートの方へ引き返した。 呆然とした間抜けな顔をさらしているアートの胸に飛び込んで、離されないようにしがみつく。 「ごめん。好きだよ、アート…」 「オマエ……」 「でも気持ち良かったからじゃないからね!」 ずる、とアートが滑った。 「え?」 へたりとその場にアートが座り込んでしまう。 引きずられるように僕も地面に膝をついた。 「ちょっと、アート……?」 「カナワナイ」 ぼそりとアートが言った。 かなわないって、何のこと? 不意に、ぐいっと抱き締められた。 「アー…」 僕達の唇が、重なった。 「ん…」 今度は舌が入っては来ない。 それでも、胸がすごくドキドキした。 唇をそっと離すと、アートは少し赤くなっていた。 「俺なんか、オマエが入学してきた時から好きだったんだ」 「えっ」 「オマエ、いつから?」 「えっと……多分、吊り橋の上で告白すると恐怖でドキドキしている感じを、恋のドキドキと勘違いして相手に恋してしまうっていう効果の通り、ハイジャックに遭った時から」 「……」 ぼぐっ。 無言で、アートの拳が僕の頭頂に打ち下ろされた。 「いたぁっ」 「オマエ……気持ち良かったから好きだって言われた方がましだっ!」 「そんなことないよ。僕、ハイジャック犯に連れ去られて、アートのことばっかり考えてたんだから……。アートに会いたい会いたいって」 そう言うと、素直なアートの顔がかぁっと赤くなる。 可愛い。照れてるんだ。 「アートこそ、入学した時から僕のこと好きだったなんて、嘘」 「嘘じゃねぇよ。俺も最近気づいたんだ。オマエのこと気に食わないって思ってたのは、オマエのこと好きだったからなんだって。気に食わなかったのは、オマエに群がる連中で、オマエには何の落ち度もないし」 それどころか……と言って、アートに再び抱き締められた。 「好きだし。体の相性よかったし」 体の相性……。 体を繋げた日のことを思い出してしまう。 「これから、本当に俺のことを好きになるようにしてやるから。だから、こんな学校とっとと退学して、一緒に逃げようぜ」 「逃げるって?」 「今夜、11時にここに集合な。また脱走しようぜ」 アートはいたずらっぽい笑みで言った。 その夜、僕とアートは再び、二人で寮を抜け出した。 アートのお父さんのはからいで、僕の退学までもが取り消しになったことなんて知らずに。 アートのお父さんが、僕を養子に欲しいなぁなんて考えていたことも知らずに。 ただ、二人でいたかったから。 僕達は学院を飛び出した。 まだまだ遠い、あの海の向こうの世界を、再び目指して。 ***終*** [*前へ][次へ#] [戻る] |