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短編集
紫陽花夜話 2
おばあさんはそう言い、平が靴を脱いで家にあがると、手を延ばしてガラガラと扉を閉めてしまった。がしゃん、と古い扉が不安な音をたてて閉まる寸前に、こちらを振り返る平が見えたような気がしたが、気のせいだったのかも知れない。
平のお母さんはちらりと玄関を振り返ると再び僕を見た。
「すいませんね、ちょっと神経質になってまして…」
硬い口調だったが先程よりは高ぶってはいないようだった。
確かに夫を亡くして母一人子一人になり、夫の実家に戻ってきてそのうえこんな田舎で噂の的になれば、神経質にもなるかも知れない。
彼女を哀れに思う気持ちが、僕についさっき怒鳴られてしまった不快感を忘れさせた。
「そうですか。お身体には気をつけて下さいね……では僕はこれで失礼します」
なるべく柔らかな口調になるよう努めて、くるりときびすを返した。
歩き出すと背後で玄関の戸を開けるガラガラという音が再び鳴り、お母さんが履いていたらしいサンダルのカラコロという音も聞こえた。
翌日、学校で会った平はなんと頬がわずかに腫れて赤くなっていた。昨夜、それほどに強い力ではたかれていたことに初めて気づき、僕は戦慄した。
平はまだ子供のようなあどけない頬のラインではあるが、同年代の子に比べるとずっと大人の体格をしていてがっしりと筋肉がついている。頬も大人の男に近づいてきている、力強い表情筋がついているのだが、そこに翌日まで残る痣をつけられるほどの力で殴るなんて、一体どういう衝動があのお母さんの中にあったのだろう。
僕は放課後、職員室の窓から昇降口を見張り、平が出てきた時にすぐ外に出て校門の所で彼をつかまえた。
「平……ちょっといいか?」
「え?」
いきなり背後から声をかけた僕に驚いた顔で平が立ち止まる。
「今日も早く帰らなくちゃ駄目か?」
「いえ、大丈夫です。日が暮れる前なら…」
「そうか。じゃ、職員室で話そうか」
町にある高校と、僕や平の住む村では、日が落ちる時間が全く違う。村は山の中にあるから、町よりもずっと早く暗くなってしまう。
大体にして、村へ行くバスがなくなってしまう時間になると帰るのに苦労するから、話は手っとり早く終わらせてしまいたい。
職員室の隅にある応接室に使っているスペースに平を座らせ、僕はその横に腰かけた。正面に座るよりも、横に座っている方が心を許せるものだ。
僕は平に不快感を与えないよう、腕が触れ合わないくらいの距離を置いて座った。
「平、お母さんはずいぶん疲れてるみたいだね」
「……」
平は答えず、うつむいた。
僕の方を見ようとしないが、僕が平の顔をのぞきこんでいるのは目の端に映っているはずだ。
彼の沈黙はそう長くはなかった。
「うん。あき先生、あの…」
「うん?」
「お母さん、もしかしたら東北に帰っちゃうかも知れない」
「え…」
平のお母さんの実家は、東北の方らしいとは聞いていた。つまり、実家に帰ってしまうかも知れないとうこと。そして、平はそれについて行かないということか……?
「じいちゃんとばあちゃんと、あんまり仲が良くないんだ。前はそんなことなか
ったのに…」
「お父さんが亡くなってから?」
「そう」
こくんと平はうなずいた。
お父さんが亡くなって、その実家でよくやっていると思っていたが、やはり平のお母さんは義父母とうまくいっていなかったようだ。
「お母さん、僕を連れて行くって言って、じいちゃんばあちゃんと喧嘩してるんだ。毎日…」
そうか、それであの態度だったのだ、と昨夜のことを思い出し、僕はわずかに眉をひそめる。
平には何の落ち度もないことで、家族がぎすぎすしているわけだ。それを辛いと思わない少年がいるだろうか。
「平はどうしたいんだ?」
「…俺…」
僕は平の答えを知っていた。
いや、知っているというよりも、「この村に残りたい」という答えを強く期待するあまり、知っていると思い込んでいたのだ。
声を詰まらせながら、たどたどしく答えた平の言葉は僕の予想するものとは全く違っていた。
「あき…先生…俺は…ね…」
その時、平の目には涙さえ浮かんでいた。
「俺はぁ……あき兄と一緒に、いたいんだ…」
「……え?」
その言葉は常ならば嬉しいはずだったが、今は違う、僕とどうこうという話などではなく家族の話をしているはずだったからだ。
 そして僕は幼馴染みとして、教師として、生徒の悩みを聞いてあげている他人に過ぎなかったはずなのに、平が僕の名前を突如出したからすっかり頭が混乱してしまった。
「平……僕だって、平と一緒にいてあげたいけど」
「あき兄は俺に約束したこと忘れてるんだ。俺のこと守るって、ちっちゃい頃言ってくれた」
「覚えてるよ。今でも、出来る限り守りたい」
「でも、俺が引っ越してからは俺のことなんて忘れてたんじゃないの? なんで一度も、一度も…手紙とかくれなくって……」
ぐすぐすと平は鼻をすすり始め、その目からはぽろりと涙がこぼれてしまった。慌てて僕は肩を抱いてやる。
「平…?」
優しく問いかけてやると、平は激しく肩を震わせながらますます泣いた。
「東京の大学に行ったって聞いた時は嬉しかったのに。俺に会いに来てくれると思ってたのに、会いに来てくれないし……手紙も、電話もなくて……うっ」
とうとう平は嗚咽をもらしてしまった。
肩を強い力で抱いてやりながら、僕は慰めの言葉なんて思い付かなかった。事実だったからだ。

平のことを忘れたわけではなかったが、東京に引っ越した彼を守ろうとは思っていなかったし、自分から連絡をとることを思い付きもしなかったのだ。子供の頃、この周辺でガキ大将だった僕には友達も多くて、やはり同級生の友人との付き合いの方が深く年下の少年達は友人というよりも「子分」のような扱いだった。
 平を守ると約束したのも、子供らしい浅はかな正義感による偽善的な厚意でしかない。
子供はそうやって、出来もしないことを言ってしまうのだ。
物事の分別がつく年頃になってからも平のことを思い出さないではなかったが、引っ越した先ではそこで出来た友達と仲良くやっているだろうと勝手に思っていた。
何度か手紙も来たが返事を出すこともしなかった。
小学校低学年の彼のたどたどしい文章から、引っ越した先で友達が出来ずに寂しい思いをしていることを読み取ることは出来なかった。

僕の腕の中で嗚咽をもらしていた平は、僕が押し黙ったままでいると十分程度で泣き止んだ。ずずずと鼻をすすりながら顔を上げ、僕を見ると、
「あき兄…先生……ごめん」
そう言った。
平は悪くはないと思う。悩んでいて、子供の頃の約束を思い出して僕のことを責めたい気分になったとしても仕方がないように思えた。
僕は笑みも見せずに首を左右に振った。
「いや、僕が悪かった。ごめんな、手紙も書かなくて…」
「う、ううん」
平は真剣な顔をして僕の目を見つめ続けている。
「あと、言い訳するつもりじゃないが、僕が行った大学は埼玉なんだ。この辺の人にとっちゃ、埼玉も東京と同じようなもんだけどな」
「うん」
「ほんとに、悪かっ…」
もう一度、謝罪しようとして言葉が途切れたのは、僕のせいではない。平が不意に身を乗り出してきた時、僕の視界いっぱいに彼の顔が広がってあまりに近いので逆にぼやけて何も見えなくなっていた。その直後には唇を塞がれていて、驚きのあまり硬直してしまったのだ。
そんな行動に出るような雰囲気は絶対になかったと思うが、思い込んでいるのは僕だけであって、平は何か感じていたのかも知れない。
平の年齢を思えば、こうやって二人きりで密着しているだけで、相手が男とはいえそういう行為に及びたい衝動に駆られても仕方ないかも知れない。
平はちょっと唇を押し付けただけですぐ離し、またまっすぐに僕を見るから、僕は苦笑してそっと離れた。何と言って咎めていいか、わからなかったのだ。
それをちょっと寂しそうに彼が見ていたことには気づかずに。



翌日、僕が家を出て一つ目の角を曲がった道の、その途中に平が待っていた。教師の方が生徒よりもずっと早く登校するから、平がこんな時間に家を出ているのはおかしい。
当然、その姿を見て僕はすぐに異常に気づいた。
「あき先生っ」
平は明らかに僕を待って、そこにいたのだ。
昨日、平の家の前で別れる時にはいくぶん元気を取り戻した顔をしていたのに、また泣き出しそうな表情になってしまっていた。
「あき先生……お母さんが、今日家に帰るって…」
「家って…」
「東北の家に帰るんだって。それで、一学期が終わったら俺のこと迎えに来るからって」
「え……」
あまりに突然のことで僕もすぐには反応できなかったが、平の知らない所で話し合いはあったのだろう。昨日、平が帰るとすぐにお母さんが改まって平にその話をしたのだという。
平は今にも泣き出しそうな顔でそこまで報告すると、僕の言葉など待たずに背
を向けて駆けて行ってしまった。自分の家へと。
もしかしたら、そのことで悩んで昨夜は眠れず、ずいぶん早い時間から僕を待ってそこに立っていたのかも知れない……。
その日、平は学校へ来なかったようだ。今日は平のクラスでは日本史の授業はなかったのだが、平の担任の先生が教えてくれた。僕と平が同じ村内に住んでいることを知っているからだ。
おばあさんから電話があって風邪だと言っていた、と先生は言っていたのだが、朝の雰囲気では風邪などひいている気配はなかった。恐らくは精神的に参ってしまって、登校拒否だろう。
僕が何も言わなかったのがいけなかったのだろうか。しかし平は僕が何か言う前に去ってしまった。
スーツのまま、少年らしい健全な走りをみせる平を追って、つかまえて話をしていたら、バスに乗り遅れていただろう。
僕は悪くない……そう思いながらも、僕を頼りにして話をしに来てくれた平に、何も言ってあげられなかったという罪悪感は僕を苛んでいた。



平はその翌日には学校に出てきた。何ら変わった様子もなく笑ってクラスメイトとはしゃいでいる姿を見かけたが、辛くないわけはない。
 笑ってみせているのは、村から登校している子も多数いて平のお母さんが家を出て行ったことを知っている子も多かったからだろう。
落ち込んだ姿を見せられるような友達は、もう出来たのだろうか。
僕はまだ、そう思っていた。
平にとって僕だけが頼りであったことになど、この時はまだ気づいていなかった。


何事もなく忙しく日々は過ぎた。
平の様子がまたおかしくなり始めたのは、やはり、期末試験が近づいてきた7月初旬からである。
期末試験が終わり夏休みになれば、平のお母さんが東北から彼を迎えにやって来るのだ。彼は東北へ行かなければならなくなる。
僕は放課後、何度か平の家を訪ねて話をした。


「あきさん、今日もありがとうねぇ」
三日に一度は学校に行きたくないとわがままを言うらしい平に、平の祖父母は困っていて僕が尋ねて行くと喜んで家へとあげてくれる。
お茶はいらないと断ってから2階の平の部屋へ行くと、6畳の自室で平は嬉しそうに僕を迎えた。
「あき兄!」
嬉しそうな顔を見ると、僕に来てほしくてわがままを言っているんじゃあるまいな、と疑わしく思ってしまう。しかし話を始めれば、その笑顔も途端に消え失せてしまうのだ。
「お母さんにはね、祭りが終わるまで待ってって電話で話したよ」
平は嬉しげにそう報告した。
この地域でも夏祭りはあって、平が幼い頃に閉じ込められたのとは違う神社でたくさんの夜店が出るのだ。店は村の役場の人達がそれぞれ担当しているのだが大人は総出で手伝いに行くようになっていた。僕も大学の頃から、実家帰りをした時には手伝いに行っている。
平の話では東京の方では夏祭りも規模が小さく、また子供達もそれほどはしゃがないのであまり楽しめないという。
 平がこの村での祭りを楽しみにしているのはよくわかった。だからお母さんにも祭りが終わるまではと頼んだのだろう。
「あき兄、あき兄、祭りは一緒に行こうよ!」
「平、大人は店をやらなくちゃいけないから」
「えーっ! 俺、あき兄と行くって言って友達の誘い断っちゃったんだよ」
「そうか。じゃあ、初日だけなら…」
「うん!」
大喜びの平は、やはりまだ子供に見えた。
「祭りは一緒に行ってやるから、ちゃんと学校に出て来いよ」
「……うん」
途端に平は落ち込んだ顔をしてうつむいてしまった。見ている限り友達がいないわけではなさそうなのに、学校が嫌いな理由がわからない。
「どうしてそんなに、学校がいやなんだ?」
「あき兄、生徒に人気あるんだもん」
「ん? そうか?」
生徒に人気があると聞いて、僕はつい嬉しくなってしまう。すると平はきっと僕を睨みつけ、
「他の奴と仲良く喋ってるあき兄、見たくないんだよ! あいつらも、ヘラヘラ、あき兄に懐いてさぁ…っ!」
「え…っ」
子供らしい平の独占欲を微笑ましく思うが、僕のことをそんなに独占したがっていたとは気づかなかった。それはそれで嬉しいが、やはり、教師として一人の生徒とだけ付き合いを深くするのは良くないだろう。
平は幼馴染みだったが、僕の生徒でいる間は特別扱いしちゃいけない。
やっとそのことに気づいた僕は、もうこの家にも来てはいけないなと思った。欠席のたびに家庭訪問するのは特別扱いのうちに入るだろう。
「平、僕は先生になったんだから…」
「わかってるけど!」
「怒ってるのか?」
「あき兄は悪くないよ……でも俺、他の奴らとあき兄が喋ってるの見るのいやなんだ」
思わず僕は苦笑してしまう。
やはり独占欲を剥き出しにする平は、子供っぽくて可愛く見えた。
「俺がいない間……あき兄は誰と仲良くしてるんだろうとか、彼女が出来たりし
たのかなとか、たくさん考えたんだ……あっちにいる時」
「ああ」
「高校を卒業したら、帰って来ようと思ってたんだ。じいちゃんばあちゃんの家を継いで、あき兄ん家の近くだからさ、ずっとあき兄と一緒にいられると思ってた」
「そうか」
その望みが、思いもかけないお父さんの死によって不本意な形で叶ってしまい、それどころか、東北に行くのかこの家にとどまるのか、その決断を迫られている。
お母さんと、おじいさんおばあさんの間で板挟みになっているのだ。
そして平の話を聞いているとどうやら、僕のことも悩みのひとつであるらしい。僕がいるから今のまま家にとどまりたいのだろうか。東北には行きたくないだろうが、お母さんとは離れたくないだろうし。
「あき兄……俺っ、俺ね…」
「うん?」
平は顔をくしゃくしゃに歪ませていたけれど、泣き出すことはなかった。僕の
方を見ずに畳を見つめて黙ってしまったので、せりふの続きを僕も黙って待っていた。平が心の中の何かを整理して言葉にするまで待とうとしていたのだが……。

「あき兄、そろそろ帰った方がいいよ」
「…は?」
平は唐突に俺を追い立てるように言いながら立ち上がった。促されて僕も立たざるを得ない。
「俺、あの、テスト勉強もしなきゃいけないしさ」
「ああ、そうか。勉強、頑張れよ」
試験も近いとなれば平の言葉を信じて帰るしかない。僕は知らなかったのだが平の担任の先生が言うには、前の学校での成績はかなり良い方だったというし、勉強するから、という言葉は信じるに足るものだった。
半ば無理やりな雰囲気は否めなかったがそれでも、僕は促されるまま帰途についた。






試験が終わって夏休みが来ると、僕は補習のために初めの一週間は学校へ通ったが、その後はやっと本格的な夏休みとなった。
ただ、一週間に一回はまだ朝の暗いうちに、僕の家の前で近所の小学生が大声を張り上げる。
「あーきーにーー!」
勤めている時よりもずっと早い、夏の朝の暗い時間と言えば3時半くらいだ、そんな時間に起こされる。
 ほぼ一週間ごととは言えいつ来るのかは予測できないから僕は準備もせずに眠りこけているので、目をこすりながら縁側に出て虫篭を首に提げた子供達と相対する。
彼らは期待に満ちたまなざしで僕を見上げているのだ。
僕は子供の頃、当然彼らのように夏休みは朝早くから日が暮れるまで遊びまわっていた。いつからか僕が虫採り名人だという噂も流れたが、まさかこの年になってまで誘われるとは思わなかったのは、この地を離れて都会の学校へ行っていた時期があったせいだ。
僕の噂はきちんと同級生の弟妹、あるいは近所の子供達へと広まっていたのだ。7つも年が離れた平でさえ僕の友達だったのだから、どこまで幅広い年齢層にまで僕の噂が広がっているか容易に知れるというものだ。つまり、村中の子供達が知っているとみて間違いない。
そして彼らは一週間ほど、自分達で作った罠を試したりして、失敗すると僕のアドバイスを請いに来て成功すると自慢しに来る。
「あき兄、林のカブトムシ、取りに行こうっ!」
「昨日みんなで蜜を塗って来たんだよー」
「あき兄がよく取れるって言ってたポイントに!」

 特に村を出て行った者は、やはり村に居続けている者より郷愁の思いは深く他愛ない昔話でさえ熱く語ってうっとうしがられる始末だ。
まだ若い、僕らは23になったばかりだと言うのに。


「椎名さんとこの、一人息子、帰って来たんだってなぁ」
平がお母さんと村に帰って来た頃、よその地で働いていた連中は里帰りしてからその話を聞くもんだから、最近よく平のことを聞かれる。
「そんで、お母さんはまた家を出てったんだろ?」
同情した顔をして昔の友人が言うものだから、僕もつい自分の知っていることを漏らしてしまう。
「平は夏休みの終わりにはお母さんの実家のある……山形だったかな、そこに行くらしいよ」
「あそこん家は、俺らが子供の頃にじいさんばあさんに大反対されながら結婚したじゃねえか。それで親父さんが亡くなったってんだから、平もかわいそうだよなぁ…」
「よくそんな前のことを覚えてるな」
「覚えてるよぉ。椎名さんとこのじいさんが、俺ん家来てじいちゃんと酒飲んで愚痴こぼしてたんだもんよぉ」
「ああ、そっか…」
平のお父さんは一人息子だから結婚には苦労をしたらしいのだ。
「平を見かけたぜ。泣き虫だったのに、でっかくなったな」
「まだ図体だけだよ」
「まだ15? 6か? かわいそうだよなぁ」
しみじみ言うが彼にとっては他人ごとなのだ。誰も手を貸してはやれない。平は僕を頼って来るけれど、家族の事情は助けてあげることは出来ないのだ。それをわからないから、平はまだ子供だと思う。
かわいそうだけれど、僕が幼馴染みでも学校の先生でも、どんな関係だとしたって彼を助けてあげられる存在じゃないのだ。
それを思うと切なくて、自分の無力を思い知る。


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