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Novel
ただ、君を想う(5)
「俺、怖かったんだ。昨日のことが夢みたいで・・・でも、今日になって、朝になって、全部・・・全部、夢だったんじゃないかって思えて、そんな都合よくいく訳ねぇって・・・すっげぇ怖かった。だって・・・そうだろ?それだけのことを、俺はしたんだ・・・」

必死で自分の思いを吐露する三井が愛しくて、木暮は眉を八の字に寄せて涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、自分の頬に添えられた三井の手をより一層、強く握った。

「もっと・・・自惚れてもいいよ、三井・・・」

そんな木暮を、特別慈しむ様な瞳で三井は言う。
「これ以上、思い上がらせないでくれよ・・・木暮。」
木暮の涙は、三井の長い指を伝い止まることなく流れ続けた。

三井は木暮を、なだめすかすかの様に頬に手を添えたまま、木暮にそっと口付ける。

今は、その手に縋りつくしかない強くて弱い君に、精一杯の愛しさを込めて。



何度めかのキスのあと、三井はようやく木暮から離れ、尋ねた。
「・・・今日、部活あるのか?」

散々、甘い雰囲気を作っておいてイキナリこんな現実に引き戻すなんて、あんまりだ。

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あきゅろす。
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