Novel
優しい雑音
君の声は、優しい雑音。
目に見えるものすら、曖昧で、不確かなんだ。
けれど、君はそこにいる。
それは、さわやかに晴れた、ある5月のことだった。
昨年、1回戦負けだった湘北高校は中堅・三浦台高校を100点ゲームで下していた。
「やっぱり、三井が戻ってきてくれたおかげかな」
湘北高校バスケットボール部・副キャプテンである木暮は、ぼんやりと遠くの空を眺めながら呟いた。
当の本人は、木暮の傍らに腰を下ろして瞳を閉じ、その言葉に耳を傾けている。
「・・・三井、聞いてる?」
「・・・あぁ、聞いてっから、もっと話しててくれよ」
「・・・ワガママだなぁ・・・」
「・・・いーから話せ。声、聞いてたいんだ」
「・・・そっか」
「・・・そーだよ」
君の声は、優しい雑音。
僕には、聞こえている。
*End*
2006.5.26.
タイトルは、スピッツの「大宮サンセット」の歌詞の中から拝借致しました。
この曲は、数あるスピッツの曲の中でも大好きな曲です。
[前へ][次へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!