陽のあたる場所 ページ:4 先輩の呟きに少しドキリとする。 あの如何(いか)にもガラと頭が悪そうな奴らに話し掛けるのか… 「先輩…って!?」 「君達、何してるの?」 振り向いたらもう居なく、奴らに話し掛けていた。 全く躊躇(ためら)いや恐れもなく。 「えっ!ちょ、何何何!?」 やはり頭の悪そうな、金髪の女が騒ぎ立てる。 目つきの悪い男は先輩を睨みつける。 「何すか。」 「楽しそうな所悪いけれども、君達は未成年だよね?そろそろ家に帰る時間だよ。」 「えっ?えぇっ?何!マジキモイんだけど。つかあんた誰?」 あんまりな罵声を浴びせられても先輩の態度は変わらない。 「申し遅れたね。刑事のあさぎと申します。っと、これ警察手帳。帰らないなら君達を補導します。」 笑顔でサラリと彼らにとって聞きたくないはずの“補導”という言葉を持ち出せば、若者達は顔色を変える。 「ウソ、ウソだよね。マジな訳ないじゃん…」 「ふざけてだろ。ああ!?」 「残念ながら君達をからかうために警察のふりをする程、私は暇じゃないの。分かる?」 そう言うと俺を手招きで呼ぶ。 すっかり様子が変わった若者達を見ながら、口に手を添(そ)えて内緒話しで伝えてくる。 “逃げられないように、この子達の背後に回って。” 俺は無言でうなずいて返し、気付かれないようにそっと背後に回る。 これでよし。 「警察だが何だか知らねーけどよぉッ!すぐ黙らせてやる!」 「よせ!馬鹿!」 [*前へ][次へ#] [戻る] |