他1 ページ:4 「ふ…、……はッ!」 愉しそうに、にっと笑った後、木刀が振るわれた。 右から来たその攻撃を、木刀で受け流す。 一歩踏み出し、突きを繰り出せば、飛び退いてかわされた。 「まだまだッ!」 左下から斬り上げると、右上から重力に任せて、政宗様の木刀が振り下ろされた。 ガゴ!と木刀同士のぶつかる音が響いた。 「相変わらず、迷いのない太刀筋よ!」 「……政宗様こそ」 「まだ貴様は本気ではあるまい。かかって来いッ!」 「――っ!」 剣先を払われ、政宗様の木刀が真っ直ぐに私に振り下ろされた。 ―――嗚呼、 ガコンッ! とっさに攻撃を防いだ私の木刀は飛ばされ、くるくると回り、地面に刺さる。 それから、ピタリと私の首に木刀が当てられた。 「何故、本気で来ない」 「――政宗様。もう十分です」 「……何?」 木刀を下ろし、隻眼で私の眼を睨んだ。まるで、意図を読もうとするかのように。 「…政宗様の意志が揺るぎない物だと言うこと。それから」 「私はもう、伊達に不必要な人間だと言うことです。」 [*前へ][次へ#] [戻る] |