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他1
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「――――っ」



言葉が上手く出ない。



何と答えればいい


この覚悟に、応えられる返答は…?



右目を…切る。



それで、もし変われるのなら…



「小十郎」


「はっ」


「…――僕は、小十郎を信じるよ。…右目を、切ってくれ」


「…はっ!」



今は、この返答で精一杯。



「…では、梵天丸様。今晩、またこの部屋にお越し下さい。――成実や、他の家臣にも手伝わせます故。」


「分かった。――…小十郎」


「はい」


「…ありがとう」


「!―――礼はまだ早いですよ。…では、失礼致します。」



小十郎の背中を見送った後、部屋を出た。



母とすれ違うが、言葉などかけてくれるはずもなく。



「――母上、僕は変われるよ」



既に誰もいなくなった廊下で、ポツリと呟いた。














「うッ…あぁあああああっあぁッ!」


「梵天丸様…!」


「馬鹿野郎!早く酒を…」


「す、すみません!――梵、大丈夫。片倉様も俺もついてるからな…っ」



痛い。熱い。痛い。



頭の中に響く痛みが、全身にも伝わる。


呼吸すらやっとで、意識は朦朧としていた。



痛い痛い熱い痛い痛い熱い―――



思考すら痛みで消え去り、体が痙攣を起こす。



「うあぁッ!ぐ……いぃ…はぁ、う"……」


「もう少しです、梵天丸様――」


「早く…早くしねぇと…――」


「そんな事は俺が一番分かってる!成実、布を……」


「貴様ら!何をやっているんだ!」



……――父上?

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あきゅろす。
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