1 今日はリドルと一緒に、部屋でのんびり読書。 俺は相変わらずアニメーガスの本だが、リドルの本は……"気になる闇の魔術。これで君も、偉大な闇の魔法使いだ!"と表紙に書かれてる本。 ………なんて本を読んでるんだ。いろいろとツッコみ所のある本だな、おい。 「………あ、」 「リドル、どうかしたのか?」 「うん…セイラ、ちょっと時計貸して」 「時計?……はい」 「ありがとう」 以前ルッシーから貰った懐中時計をリドルに手渡す。 リドルはにこりと笑うと、懐中時計の蓋を開けて眉をしかめた。 パチンと蓋を閉めて俺に手渡すと、もう一度に礼を言って、本を閉じて立ち上がった。 「セイラ、僕はヴォルに呼ばれてるから行ってくるね」 「おう、分かった。行ってらっしゃーい」 手を振れば振り替えしてくれて、リドルは部屋から出て行った。 ヴォルがリドルを呼ぶなんて珍しいな…。どんな話しするんだろ。 ま、盗み聞きなんて事しないけど。 懐中時計をポケットにしまい、目当ての内容が書かれている事を期待して、また本に視線を戻した。 *** 「ヴォル、入るよ………、」 返事も聞かないまま、扉を開けて中に入った。 ヴォルを見ると、僕は今すぐに部屋から出たい衝動に駆られた。だが、呼ばれたからには何か話しがあるのだろう。部屋から出たい衝動を必死に抑える。 「………なにかあったの?」 机の上で突っ伏して、明らかに落ち込んでいるヴォル。 声を掛けられて始めて僕の存在に気付いたらしく、ヴォルは机から顔をあげた。 「あぁ、リドルか。………大変な事が行ったのだ。」 「なに、そんなに思い詰めた顔して……」 「………」 大きな溜め息をつくと、ヴォルは立ち上がった。 そして、驚くべき言葉を口にした。 「ナギニが抜け出した」 「…………は?」 思わず、間抜けな声が出てしまった。一瞬ぼうっとしてしまったが、慌ててヴォルに詰め寄った。 「どう言うこと!?ナギニが抜け出したって!」 「分からないから貴様を呼んだんだ!何時この部屋から抜け出したのか…」 「………最悪」 頭痛くなってきた…。 まぁ、ナギニの気持ちも分からなく無いけど。 セイラが来た日から、ナギニはずっとこの部屋の中から出ていない。そりゃあ抜け出したくだってなるだろう。 僕とヴォルで決めた事だから、文句は言わなかったけど、流石に気が滅入ったんじゃ無いだろうか。 「今は死喰い人達に探させている」 「そう……」 溜め息を吐いた。 ナギニを出さない理由はただ一つ。セイラが怖がるかもしれないから。 セイラは確かに男っぽいし、蛇とかの爬虫類は大丈夫のような気がする。 だが、男っぽいとは言えセイラは立派な女の子。ナギニを怖がるかもしれない。 それを考えて、ナギニを部屋から出さない事にしたのだが…。 「流石に、ずっと部屋から出さなかったのはまずかったな」 「そうだね…」 [次へ#] [戻る] |