すれ違い
「……ベル?」
「っ‥」
いきなり大声をあげたベル
何で……?
「……何でもねぇ、帰る」
「!ま、待って!ベル!!」
痛くて動けない私の体
苦戦している間に、ベルは行ってしまった
「ベル……」
あなたを頼れってどういう意味なの?
私はベルにとってただのオモチャ
オモチャは、ただ黙って持ち主の思うままに操られるだけじゃないの?
それに、どうやって頼ればいいの?
あまり自分でも言いたくないけど
逆にベルは私にとって敵。お母さんを殺した犯人
それだけは、隠しきれない事実
あなたはそれを知ってて言ってるの?
それとも忘れてしまったの?
「わからない、よっ……ベル………お母さん…」
カッコ悪い
情が入った……ただの、どこにでもいる女に対して
オレは、何を言ってるんだろう
「ベルフェゴール様…!!どちらへ行かれておられたのですか!?」
「ん、散歩。何?盾つくの?」
殺っちゃうよ、今イライラしてるし、スカッとしたい気分なんだよね
そう言ったら使用人は顔真っ青に、ししっ♪
「いいえ…!滅相もない!!ただ……」
「ただ?」
「あの方が…暴れ始めたので……」
「!」
アイツが……ふーん
この前まで大人しく牢屋に入ってたのになぁ
「じゃあ見てくる」
「お待ち下さい!今は危険です!負傷者も多数「王子が逃げるかばーか」
それに、ちょっと楽しみだし
うししししっ!ストレス発散になるかな
オレはあの牢屋に向かう
普通の地下とかにある牢屋じゃなくて
わざと明るい、笑い声や楽しそうな声なんかが聞こえる場所に。
アイツには死ぬよりも残酷で、独りの辛さが身にしみる罰を。でもまだ軽いくらい
そうこう考えてるうちにその場所へ付いた。当然のように使用人は騒ぎまくってて、負傷者が何人か。…ししっ暴れてもなーんも意味ないのにね
「うししししっ 元気そうじゃん?」
唯一外が見える小さな窓から見下ろす
その姿は凄く無様に見える
「………ベルか?」
「だったら?」
「なぁベルー、ここ開けてくれよ
8年もここにいるから退屈なんだよ!」
「ししっ、冗談言って」
「本当だぜ?開けてくれよーオレ達
兄弟だろ?」
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