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VOICE
序章 05
「まずは自己紹介とでもいくか。俺は長男の葛西郁斗」

早速一服しながら黒髪の青年は切り出した。何と無く、長男らしい責任感と落ち着きを放つ頼り甲斐のある風貌をしている。

「次男の澪です。バンドではベースをやってます」

次いでインテリ風な白い肌の華奢な体格をした青年が、眼鏡のズレを直しながら丁寧な口調で言った。物腰の柔らかそうな口振りで、穏和な雰囲気だが、扱い難そうなキャラである。白衣でも着てそうなイメージをさせる為、その体でベースを抱え、あの重低音を鳴らすとはとても思えない。

「俺、三男の真人、ピチピチの20歳!ドラム担当で〜す!」

待ってましたと言わんばかりに右手を高々と挙げ、金髪の少年が元気良く声を上げる。一斉に他の客からの視線が注がれ、彼以外が居心地悪そうに肩を竦めた。しかし、20歳とは思えない童顔とノリだ。ピチピチなのは引き締まった体躯に羽織った窮屈そうなTシャツの事ではないかと、馨は思わず心の中でツッコミを入れる。

「あ、長女の苺です。今年から大学生で、キーボードやってます!」

最後に口を開いたのは、葛西家の紅一点。緊張からか、頬が紅潮し、少し声が震えているが、明るく可愛らしい印象を受ける。聞くと郁斗から真人迄は年子だが、苺だけ18歳だという。

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あきゅろす。
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