空を見上げて
標的14 その1
登校途中、曲がり角で人とぶつかる…。
よくある少女マンガの一コマだ。
まぁ、小さい頃は憧れもあったけど、実際に目の前で起こってほしいとは思ってない。
しかも男子同士はねぇ…。
意外にもツナと2人で同じ日に登校するのが初めての今日。
“夜ねむれなかったよね”など話しながら来訪者についてはぐらかしていると、ツナが左から来た学ランの男子にぶつかってしまったというわけだ。
けどさ、少し赤毛の軽く天パでメガネ…もしかして。
「あの…落としましたよ」
立ち上がったツナがメガネをかけ直している彼に、生徒手帳と思われるものを渡そうとするが、ツナの顔を見た彼が青ざめる。
「ス、スミマセンデシター!!」
叫んだのと同時に走り去ってしまった彼…入江正一。
そりゃ、トラウマあるから怖いよね…。
隣で目を丸くしているツナの肩に手をおく。
『それは私が帰りに届けておくよ』
「けど…ヴァリアーの奴らが」
『大丈夫だって。殺されるわけではないし、遭ったら全力で逃げるから』
「……オレが届けるよ」
『ダメ。修行があるんでしょ?』
「今日は無いから」
『だとしても、ツナが行ったらまた逃げられるよ?』
「……お願い」
小さな声で手帳を渡され、苦笑いしながら受け取っていると、山本が正一が走り去った方から歩いてきた。
「よっ!」
『おはよー』
「お、おはよう」
2人が話しているのを見ながら、“来訪者”について何時かは話さなければいけなくなると唇を少し噛んだ。
Θ
下駄箱で途中合流した獄寺を含めた三人と別れ、応接室へ向かう。
恭弥の修行が始まってからの日課になっているこれは、人生二度目の授業を“風紀委員”の仕事という理由でサボれるから始めたものだったが、今では授業の方が楽だったかもと思いつつ草壁の手伝いをしている。
もう見慣れたドアをノックして入ると何故か草壁と…京子がいた。
『どうしたの?』
「柚ちゃんに用事があったからココに来たんだけど、居なかったから草壁さんと話して待ってたんだ」
確かに、教室には行かないしコッチで待っていてくれた方が私も助かる。
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