空を見上げて
標的13 その2
それにしても意味が分からない。
目しか動かないなか、必死に状況を把握しようとしていると身体が浮く感覚がする。
多分いや絶対、横抱きなんだけど…切実にやめてほしい。
自由のきかない私の思いをよそに2人は屋根の上を移動し始めた。
Θ
もうそろそろ着くよな、とか思っているとさっきまでと違うタイミングで衝撃が伝わる。
「3秒でおろしてやる…う゛ぉい!遅いじゃねーか。目的は果たせてるみたいだけどよ」
「当たり前じゃん。オレを誰だと思ってんの?」
「ムッ…金を貰ったからにはちゃんとやるよ」
あっ、生う゛ぉい。
ってそんなのんきにしている場合ではなくて…。
目の動く範囲で見つけれた彼に伝わるように目で語りかける。
ツナhelp…………。
「……柚ちゃん??!」
口には出してないものも何故か伝わったらしく、ツナがこちらを見ているのが視界の端にうつる。
「桐谷!?」
「柚!?」
「風紀委員の女子!?」
「ちっ…もうそっちまで情報が流れてるのか…」
他の人もツナの声で気づいたらしいが、リボーンの声は小さすぎて何を言っているのか分からない。
あと了平よ、いい加減名前を覚えてくれ。
なんだかでもう10回は言った気がする。
「退け」
「ぐっ…」
緊張感漂う中、後ろから聞こえてきた声には身体が動かないはずなのに震えた。
近いから余計にか、威圧感が凄い…。
さすがヴァリアーのボス、XANXUS。
「退けっ」
「てめーは関係ねーだろ!っ…!?」
「あっ…!?」
『っ……!?』
「柚ちゃん!!」
「柚!!」
えっと…たった今起こった事について詳しく言うと、レビィがスクアーロを押しのけたせいでスクアーロがベルに当たってしまい、らしくもなくベルがバランスを崩し、ベルの腕の中に居た私はというと放り出されて只今絶賛落下中だ。
紐無しバンジージャンプだー。
とか言ってる余裕なんてない。
身体を動かせないから受け身すら出来ない状態だ。
骨折どころではなくなってしまうだろう。
覚悟を決め目を堅く瞑っていると今度は磯の香りに包まれる。
あれ…もしかして骨折云々ではなく、三途の川まで行ってしまったパターン!?
凄く不安を抱えながらも恐る恐る目を開けると目の前…ほんの10p位のところに山本の顔があった。
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