空を見上げて
標的11 その2
つまり何が言いたいのかというと、私がトリップしてきた意味が分からない…と言うわけだ。
そんなのトリップした奴がわかるわけ無いと思われるかもしれないが、存在意義が分からない今、精神的にキツい。
さらに私はトリップしてきたから当たり前のごとく、本当はこの世界に居てはいけない人間だ。
いつ帰れるのか分からないし、帰れないかもしれない。
そんな事をずっと考えていたら、こちらに来てから全然寝れてなかったのだ。
けど、死と隣り合わせの毎日が始まろうとしている今はただ前へと生きていくしかない。
原作を知る私だから出来ることがあるはずだ。
そう決意して洗面所から出ようとすると慌ただしい足音と共に「行ってきます」と声が聞こえた。
一瞬ドアを開ける手が止まり、再び開けると足元にリボーンが。
「これを持って行け」
差し出してきた少し小さめのバスケットの中にはぎっしりとサンドイッチが入っていた。
「ママン特製だ。柚が何をしようとしているかは知らないが、食べないと倒れるぞ。因みに昼ご飯分も入っているからな」
『ありがとう』
…何でもお見通しって訳か。
お礼を言いバスケットを持って準備をするために私は部屋へと駆け上がった。
Θ
「いきなり呼び出して何?」
うっ…ヤバい。
イライラしてる。
用件をしっかり言わなかった私が悪いのだが、下準備と言う名のものに手間がかかったから時間が無い。
『ゴメン、ついて来て欲しいところがあるんだ!』
そう言い、少し強引に雲雀の手を掴み走りだそうとすると反対に引っ張られ、校門の溝につまづきそうになる。
「どこに行くつもりか知らないけど、なんで僕?」
『雲雀じゃないと無理だから』
「ふーん…じゃぁ“恭弥”って呼んでくれたら行く」
ピシリ
私の動きが止まったのに効果音を付けるならこれだろう…って現実逃避をしている場合ではなくって。
一体いつ気に入られたのだろうか。
というか、私の記憶の中では雲雀はツンデレキャラだったはず…。
元の世界では“恭弥”と呼んでいたから呼ぶこと自体に抵抗はないが、此方の世界でフラグは立てたくない。
心の中で葛藤していると町の方から大きな爆発音がする。
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