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捨てるもの、拾うもの(秀徳)





※捏造あり










今日は秀徳高校の文化祭だ。

普段校則の厳しい学校ではあるが、この日ばかりは多少のやんちゃにも教師たちは目をつむっている。


そんな賑やかな祭りの中、緑間は体育館に足を運んでいた。


「…主将」

「ん?ああ、緑間か。どうした?」


体育館では軽音部のライブを行っており、訳の分からない熱気と歓声に包まれている。


「…か……せん……」

「んん!?すまん、聞こえん。もっと大きい声で言え」

「…だから、高尾を!見かけませんでしたか!!」


珍しく大声を張り上げた緑間に、大坪の隣にいた宮地と木村も振り返る。


「緑間じゃねーか。いたのかよ」

「宮地、木村。お前たち高尾を見たか?」

「いや、知らねぇな」


首を捻る木村たちに、緑間は素直に頷いた。


「なに、高尾ばっくれ?」

「午前中はいたんですが、さっきから姿が見えなくて」

「女子にでも拐われたんじゃねーの」


くっくと笑う宮地も高尾に負けず劣らずモテるはずだ。
その後ろで女子がチラチラと宮地を見ていることには気づいているのだろうか。


「それにしても珍しいな。緑間が高尾を捜してるなんて」


逆のパターンならそれほど珍しくもないが

大坪が言うと、緑間は仏頂面をさらにしかめた。


「…午後から、クラスの方の店番を任されているので」


高尾の姿が見えないことに気づいた学級委員長に、捜してこいと命令されたのだ。


「まったく、仕方のないヤツなのだよ…」

「まぁ、高尾らしいっちゃ高尾らしいけどな」


そんな会話をしていると、ステージでは軽音部の演奏が終わったらしく、次の演目はダンス部だとアナウンスが入った。

BGMとともに数人の男子が舞台袖から登場する。


「おーおー、あいつ上手いなぁ。誰だ?」


激しいダンスを見事にこなすダンス部の中でも、一人だけ群を抜いて上手い奴がいた。
帽子を目深に被って、顔は見えないが…

キャーという黄色い歓声が響く中、その騒がしさに緑間は眉をしかめた。


「じゃあ、俺はもう行きます。高尾を見かけたらクラスに戻れと伝えてくださ…」


と、その時


体育館の前の方から、せーのという掛け声とともに、男子の面白がっている声が響いた。







「「「たかおーーーー!!!」」」









「はっ!?」

「えっ…」

「……!」


三年生三人が目を丸くして舞台を見つめると同時に、体育館がざわざわとしだした。


「え?あれ高尾くんなの?」

「うそー」


女子たちがきゃぁきゃぁ言いながら舞台に熱い視線を送る。

踊りながらも、帽子を目深に被った男子が焦っているのが容易に分かった。

客席からは男子のからかいの声と、やまない高尾コールが響いている。

何やらステージでは苦笑いのダンス部と帽子の男子が言葉を交わしていたが、やれやれといったように、ついにその帽子を取り去ると…





歓声が爆発した。









「おいおい…マジかよ」

「………」


ポカンと間抜けな表情を浮かべる4人の視線の先



若干引きつった笑顔で観衆に手を振る高尾の姿がそこにあった。













***






「高尾ーなにお前、ダンスやってたの?」

「はは…まぁ、中学の時までッスけどね。一応」


文化祭終了後の部活で、やはり高尾はその話題で捕まっていた。

ダンス部の一人が足を骨折し、代打で出てくれと高尾の中学時代を知る友人に泣きつかれたらしい。


「ったく、踊れてバスケも出来るなんて、どこまでモテ男の道を進む気だよお前」

「勘弁してくださいってー。もうダンスは辞めたんで。今日だけッスよ」


木村の言葉に苦笑いながらもキッパリと言い切った高尾に、何となくそれ以上踏み込んでくるなと言われたような気がして

バスケ部はその話題を打ち切った。










「真ちゃーん、まだ怒ってんの?」

「…怒ってなどいないのだよ」


我関せず、といったように一人黙々と3Pシュートの練習をしていた緑間に、高尾が声をかける。


「クラスの方すっぽかしたのは悪かったって。委員長にも謝ったし」

「だから、怒ってないと言っているだろう」


スパンとボールが綺麗にゴールを抜ける。


「ただ、少し…解せないのだよ」

「…なにが?」

「お前、ダンスがまだ好きなのだろう」


高尾が息を呑んだのが分かった。


「別に…お前が何を辞めようが俺には関係ないがな」


フイッと背を向ける緑間の後ろで、高尾はグッと拳を握った。




確かに、ダンスは好きだった。

バスケと同じくらい。




でも…あの日から、俺はダンスを捨てて、バスケ一本に全力を尽くしてきたんだ










あの日











帝光中に負けてから













圧倒的な力の前に、自分たちはズタボロにされた。

あの試合は、確かに自分の中の何かを変えたと思う。


あの敗北感から何とか這い上がって、死ぬ気で練習してきた結果が今の自分である。


(まさかキセキの世代と同じチームになるとは思ってもみなかったけどねー…)


いずれリベンジしてやろうと思っていた。



あの目 あいつに



あの時の俺が手も足も出なかった、帝光のPG…





俺一人じゃぁ厳しい

でも、こいつと一緒なら






「…真ちゃん、頑張ろーぜ!」

「!!馬鹿、邪魔をするな…!」





























『高尾…本当にダンス辞めるのか?』







(あぁ、)










俺は、俺の中の一番は、やっぱりバスケだから
















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未練はない、と言い聞かせつつもまだ心のどこかで吹っ切れていない高尾

ダンスにかける時間をすべてバスケに費やしてきたわけですね

捏造設定甚だしいですが、最近M.M.Dにハマってまして

踊ってる高尾マジかっこいい…!!!

て具合で踊る高尾を自給自足してみました。






2012.9.17



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