あなたのオト (ワンピ/ロール)
「んん?」
「………」
「んン〜?」
寝そべったローの胸にルフィが耳を押しつけてくる。
べったりと自分の上に乗ったルフィを、視線だけで見た。
「何だよ」
「おまえしんぞー動いてる?」
「見れば分かるだろ」
死んでるように見えるのか?
「でもオト聞こえねぇぞ?」
ローの言い分をまるっと無視し、ルフィはがばっと起き上がる。
「お前実は死んでんのか!!」
ぶはっと後ろで船員が噴き出すのが聞こえた。
仕事しろ。
「あっおいくま!大変だコイツ死んでる!!」
「待て馬鹿」
わざわざペボを捕まえて叫ぶので、頭をひっぱたいて止める。
「生きてるだろ。ほら」
手を伸ばし、ルフィの頬に触れた。
温度を確かめるようにルフィがローの手に擦り寄る。
「ん、だな。ん?」
納得したと思ったら、顔をにゅっと近付けてきた。
「じゃあ何でしんぞーの音しねぇんだ?」
ローの指が手すさびにルフィの麦わら帽子を引いた。
「お前が右で聞いてるからだろ。心臓は普通左だからな」
「ん?」
「左側。こっちだ」
頭を捕まえて抱き寄せた。
トクン、トクン、トクン
自分の中で響く音。生きている音。
ルフィもその音を聞いて、日向の猫のように目を閉じた。
「ん、ちゃんと生きてんな!」
「あぁ」
子守歌か何かのように心音を聞くルフィを乗せ、ローはあくびをかみ殺した。
(あー、空が青いな)
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!