みちのく夜空(ワンピ/エース+ルフィ)
「ほーらルフィ、歩くならちゃんと歩け。転ぶぞ」
「ぅん゛ー」
ゴシゴシと目をこすりながら歩く弟の足取りは非常に不確かだ。
エースが手を引いているが、それでも時折首が沈む。
「ルーフィー、眠いんなら俺がおぶってやるから」
「イヤだッ!歩く!」
立派な宣言をしたくせに、すぐにまぶたが下がっていく。
エースは肩をすくめつつもルフィの小さな手を引いた。
眠たい子供の高い体温が、繋いだ手の中で籠った。
ゆっくり、ゆっくり
「あぁ……ルフィ見てみろ。でかい月だ」
「ん〜…?」
墨色の空をぶち抜くような、今にも落ちてきそうな月。
皓々と。
こつん。小さな衝撃。
立ち止まって月を眺めていたエースの腰に、黒い頭が倒れこんできた。
「おー。寝ちまったか」
やれやれとルフィを背負う。
「よっ、と」
ずっしりとした重みを感じつつ、エースは月を振り仰いだ。
「…――見ろよ、ルフィ。でかい月だ」
当然、答えはなかったけど。
ルフィをおぶったエースはまた、ゆっくりゆっくり、歩き出した。
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